※※第108話:Happy Birthday(&Christmas Eve!).2
「雪、止んだね、羚亜くん。」
「ほんとだ、いつの間に…」
このふたりはすでに一糸纏わぬ姿で、ベッドインしておった。
「エッチしてたから、気づかなかったね、」
「そうだね、」
このまま余韻に、浸るのかと思いきや、
「パパもママも夜遅いから、2ラウンド目いこう!」
「愛羅さん!?」
まだまだヤるようです。
「ハリーさんて、意外とロマンチックだったんですね。」
「A、AHAHAH〜、」
にっこり笑った葛篭は、おそらくクリスマスプレゼントのことを言っておるのですが、
「とってもキレイ…」
「実穂子サンのほうがキレイデース!」
ふたりは明かりを落として寄り添いながら、七色に輝くガラスの雪の結晶(の置物)を、眺めておったのでした。
……よかった、いくらなんでも、わら人形ではないよねぇ。
「桜葉、ちょっといいかい?」
「はいぃ、」
さっきは邪魔されちゃいましたが、パーティーも終盤の頃、醐留権はこけしちゃんを呼び出しまして、
「明日は、授業が終わったら、そのままいつものとこで待っていてくれたまえ。」
耳もとで、それだけ残していった。
こけしちゃんも、真っ赤になると、
「あぁぁ、お父さぁん、司にワイン飲ませちゃダメぇぇ。」
会場へ戻ったのでした。
(ゾーラ先生ぇへのプレゼントはぁ、明日渡そうぅっとぉ。)
ちなみに必汰と洋子は、仕事の都合で泣く泣くパーティーは諦めまして、
「あら、登紀子さん、いらしてたならもっとはやく、ご挨拶に伺えばよかったわ。」
「おほほ。」
この日はあの登紀子叔母さんも出席していたため、羚亜はお泊まりに行ってて正解だったんです!
いろんな意味でだけど。
――――――――…
「えぇっ!?ケーキはもう、完成してるんですかぁ!?」
「完成してねぇよ、焼けただけだ。」
「ワン!」
ナナと薔と花子は、仲良くお部屋に戻りまして、
「…………あれ?」
なぜか、さんにんの部屋のドアのまえにだけ、キレイに包装されたプレゼントが置かれていたのです。
「ほんとうのサンタさんが、来てくれたんですかね?」
ナナがまじまじと、そのプレゼントを見つめていると、
ひょい
拾い上げ、薔は笑いながら言った。
「こいつは、鎧を着たサンタの仕業だな。」
「おおおっ!ヨロイを着たサンタさんとは、また勇ましいサンタさんがいらしたものですね!」
「そうだな、」
「ワン♪」
そして、プレゼントも一緒に、
バタン――――…
みんな一緒に部屋へと、仲良く入っていったんだとさ。
――――――…
「随分とありきたりな、プレゼントになっちまったが、」
リビングに明かりが灯るのを、見届けてから夕月は歩きだした。
「俺は最高のクリスマスプレゼントを、もらえた気分だ、いい笑顔が見れたよ。」
如月の迎えはなく、夕月は雪の夜道を歩きながら、振り向いて、
「16歳、おめでとな。」
微笑みながら、言葉を贈った。
再び優雅に、歩きだすと、
「あぁ、それから、」
振り向きはしなかったが、今思い出したかのように、夕月は付け足したのでした。
「メリークリスマス。」
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