※※第108話:Happy Birthday(&Christmas Eve!).2







 「だあああっ!なんで今日に限って、雪なんか降ったのよ!」

 とある高校の生徒の皆さん(ほとんど女子でなかには男子)は、悔し涙の雄叫びを上げた。

 「せっかく、薔さまに誕プレ用意したのに、渡せなかったじゃん!」


 ……広めたのは、演劇部女子の皆さんか?







 そんなこんなを、けっこうな皆さんが繰り広げておりますと、

 ピンポーン

 「お届けものでーす!」

 宅急便がそれぞれのお家に、届いたのです。





 何事かと思った皆さんでしたが、

 「一日中緑茶、1ケース…」

 ということから、これは“あのとき”のご褒美なんだと悟りました。





 「うぅぅ…ありがとうございます、お誕生日おめでとうございます…!」
 「あんた、玄関で泣いてないで、これからケーキ食べるよ!」












 「薔くん〜、校長先生はね〜、一日中緑茶10ケースより君が欲しかったよ〜?」
 …いいじゃん細宮校長、いっぱい飲んだから君だけ9ケースも多いよ?
 聞かなかったことに、してあげるからさ。





 …――これは、結果的に、雪さん、

 あなたはよくやった!















 ――――――――…

 ふたりしてつよく、抱きあっているなか、

 「だからおまえ、昨日から元気なかったのか、」
 ちょっと笑って、薔は納得したかのよう言葉にしまして。

 「すみません…、言えずにいて……」
 鼻声のナナは、ばつが悪そうに小さく言う。





 「つうことは、おまえはずっと俺のことばっか考えてたわけだ、」
 「はい…?」
 ナナがキョトンとすると、またしてもちょっとだけ離れた薔は彼女の赤い鼻をつまんで、

 「もし、どうしてもおまえが何かプレゼントしてぇなら…、おまえの頭ん中俺が独り占めしてた、その時間でいいよ。」

 と、微笑んだのでした。






 「そんなのいつもですよぉ…っ!」
 「そうだったな、」
 ナナは再び泣きそうになって、それでも笑いながら薔に抱きつきます。


 ふたりがこんな風に、たいそうイチャイチャしていると、

 ぼふっ

 だれかが、ナナの足に雪を投げてきたのだ。






 「ぎゃあ!」

 びっくり仰天したナナが、すぐにそちらを見ますと…、


 「ワンッ♪」

 尻尾をフリフリ、花子がそこにいたのです。




 「こらーっ、花子ちゃん!」
 「ワンッ!」
 ナナもとりあえず、小さく雪を丸めて投げてみたのだけど、当たらず、

 「おい、」

 突然、不機嫌そうな声は響いたのだった。

 「俺にも投げろよ。」

[ 255/538 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る