※※第91話:Make Love(&Bite).37






 「そ、そうでしたかね?」
 「あぁ。」

 朝、ほっぺたつねったりは、してたんだけど、

 「…触れてもいいか?」

 抱きしめながら、薔はそっと確かめてきた。





 ナナは黙って、彼の胸元へ顔をうずめるようにして、頷く。


 「触れる、つったら、ちゃんと中まで触れるかんな?」

 そしてクスッと笑った薔は、

 チュ――――――…

 くちづけたのであった。











 「ん…っ、っ、ふ…っ、」
 音を立てて、舌が絡まってる。
 艶かしいほどに、くちびるは触れ合って。


 ふと、

 「牙、出せ…」

 ひどく近くで薔は、こう命じてきたのだ。



 「え…っ?でも…」
 既にぐったりのナナは、火照った表情で躊躇う。

 しかし、

 「いいから出せよ……」

 有無を言わせぬ囁きに、従ったのでした。





 プッッ…

 くちびるに牙を刺すと、鮮やかな血は流れ出て、

 「飲め、」

 妖艶に見つめ、薔は更に命じます。


 「ん……」
 ナナは泣きそうになって、赤く染まったくちびるへ吸いつき、

 くちゅっ…

 血液すらも絡めるよう、舌が入り込んできた。



 「……っ、ん…っ、」
 どちらからともなく、甘い声は漏れて。

 ちゅぷっ…

 熱くむさぼるキスは、甘美な血の味がしている。




 ぎゅっとつよく、薔はナナを抱きしめて、

 チュクッ…クチュッ…

 絡められる、舌と舌が淫らに、音で聴覚をも刺激するのだ。




 「は……っ、」
 くちびるを離すと、血の混じった唾液が糸を引いてゆき、

 「はぁ…」

 牙の痕は塞がっておらず、流れ出る血をゆびに取った薔は、それを自身の首筋へと塗りつけた。

 「ここも噛めよ、」






 「んえぇっ!?だってお口も噛んでますし、」
 言いかけたナナだったが、

 ぐいっ

 「はやくしろ、」

 半ば強引に顔を、そこへと持っていかれた。




 「…っ、うぅ…っ、」
 涙ぐみ、ナナは薔の首筋へとくちづける。


 ちょっと舌で舐めてから、

 ガブリ――…

 牙を立てたのだった。





 「は…っ、」

 薔は微かな息を上げてからだを反らし、鮮血は見事なまでの赤で滑らかな肌を伝い落ちる。

 衣服もところどころが赤く染まり、ナナの口内へは極上の血液が流れ込む。



 「はぁっ…、はぁっ……」
 激痛の中、薔は乱れゆく息を上げていたが、


 ドサッ――――――…

 ふたりしてソファへと、倒れ込んだのであった。

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