※※第108話:Happy Birthday(&Christmas Eve!).2







 「雪、小降りになってきましたね……」
 ナナは窓の外を眺め、ぽつりと言いました。

 「そうだな、」
 薔も同じほうを見て、微笑む。




 雪が降っているため、一日中外は灰色だったが、もうだいぶ暗くなってきている。


 「ちゃんと焼けますかねぇ…」
 「大丈夫だろ、なんだかんだでおまえが、ちゃんと作り方覚えてたからな、」

 椅子に座って若干遠くを眺める彼女を、薔が見つめておったのですが、

 「あ、あのっ、」
 「なんだ?」

 ふと立ち上がったナナは、明るく申し出てみたのです。

 「ちょっと、一人で、雪を眺めてきてもいいですか?」







 「…別にいいぞ?」
 お許しが出たので、

 「あ、ありがとうございます!」

 ナナは部屋を、飛び出していった。














 「………………、」

 ナナが飛び出していったほうを見つめながら、少し呆れ気味の薔は呟きました。

 「ったく、何か隠してるにしても、そのカッコじゃ寒ぃだろ。」

















 ――――――――…

 「母さぁんはぁ、間に合ったのかぁぁ?」
 定時に帰ろうと思っていたのだけど、少し仕事が長引いてしまったこけしちゃんズパパは、腕時計を見ながらおっとりと会社を出た。



 すると…、

 「んんんぅ?」

 前方に、黒い高級車が停まっているのが、見えたのである。


 「誰のだぁぁ?まさかまた専務はぁ、車買い替えたのかぁぁ?」
 ちょっと憤慨しながら、そのまま通りすぎようとすると、


 バタン…

 車から、眼鏡のイケメン青年が降りてきて、敬礼をするとこう言ったのだ。

 「お父さん、はじめまして。お迎えにあがりました。」








 お父さんと呼ばれたり、目の前には高級車だし、しどろもどろになったこけしちゃんズパパは、冷や汗混じりに片手を上げて返した。

 「はぁ、ハロォォ、アイムファァイン、センキュウゥゥ…」

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