※※第107話:Make Love(&Piledriver sexual).51







 「え――――――――…?」


 給料の明細書を手にしたまま、ナナは茫然とした。



 「明後日…?」
 「そうよぉ、25日だから、ちょうど今月だとクリスマスだねっ、」











 (うそ……)

 無性に泣きたくなって、ナナは少しだけ手にちからを込める。





 「…ということは、24日には、お給料、入らないんですか…?」
 「そうね、今月は特に繰り上げにはならないわね、」













 そんな…

 知らなかった…

 知らなかったよ……



 一気に突き落とされたみたいで、ナナは黙って俯いた。


 「ナナちゃん、どうしたの?」
 店長さんが、心配そうな声を掛けてくる。



 なので、涙を懸命に堪え、顔を上げたナナは笑って言ったのでした。

 「いえ、初めてのお給料なので、何だか嬉しくなってしまい…、ありがとうございます…!」



















 …どうなる?クリスマスイヴ。















 ――――――――…

 「おまえ、元気ねぇな、」

 ちゃんとそのことに気づいていた薔は、帰ってからナナに問いただした。

 「まさか、バイト中に何かされたのか?」







 「いっ、いえいえ、そんなことはありませんよ、」
 「なら、何があったんだ?」

 ナナは明るく笑って見せましたが、彼はお見通しです。



 「言わねぇなら襲うぞ?」
 「えええ!?」













 ……ごめんなさい、

 言えるわけが、ありません。



 だって、わたしは大好きなあなたのお誕生日にすら、何にもプレゼントしてあげられないんです……









 「時間切れだな、…脱げ。」
 「どわぁあ!」

 ところがとりあえず襲われたため、いっとき忘れられた。


















 ――――――――…


 もうすぐ日付が、変わろうとしている。


 (ごめんなさい…)

 ナナはただ泣きながら、隣で眠っている薔の寝顔を見つめて、想った。

 (わたしはほんとうに、どこまでバカなんでしょう……)

















 ヒュウ――――…

 外では風が、吹き荒れます。


 凍てつくような寒さのなか、夜空はこのときすでに、

 とある準備を始めていたのだった。

















  …――Please allow foolish me.

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