※※第91話:Make Love(&Bite).37
「はい!何でございましょう!?」
悶え死にを何とか堪えたようで、ナナはご丁寧にも元気よく返事をしていた。
すると、
「ん……?」
薔は、目を覚ましてしまったようだ。
「すみません!もしや、今ので起こしてしまいましたかぁ!?」
慌てふためく、ナナ。
「あぁ、何か、夢ん中でもおまえといた気がすんな…」
薔はまだ若干眠い様子でぽつりと呟くと、ゆっくりからだを起こした。
しかし、
「あのぅ…、」
「ん?」
大声で返事しちゃったのは自分なんだが、もうちょっと味わっていたかったナナは控えめにこんなことを懇願したのである。
「今の…、もう一回、やってください……」
とね。
「…どんなんだ?」
寝惚けていた薔が、覚えているはずもなく、
「えっとですね、こう、ぎゅっとですね、ものすごく可愛らしい感じでございましてですね、」
両手を使って、ナナは必死に説明を試みる。
「ほとんどよくわかんねぇな、おまえが俺で再現してみろ。」
「んえぇぇぇぇええ!?」
やはり結局は、こうなりましたよ!
ぎゅっ…
意を決して薔へと抱きついたナナは、
「こうです、こう!」
力説した。
「んなこと言ったのか?俺は、」
「言っておりませんよ!」
ナナは必死でございまして、薔はなんだかんだで楽しんで(愉しんで?)いるのですな。
「で?」
「あっ、それでですね、これまた可愛らしいお声で、わたしの名前を呼んだんですよ!」
抱きついたまま、力説をつづけたナナだったが、
「俺がそんな声、出せるわけねぇだろ、」
「えええ!?わたくしかなり何度も、聞いておりますけどーっ!」
次に、びっくり仰天した。
ところが、このまま続行かと思いきや、
ふわっ…
「なぁ、ナナ、」
やさしく抱き返して、薔は言ったのでした。
「今日、俺はおまえにあんま、触れてねぇ気がすんだよ、」
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