※※第91話:Make Love(&Bite).37
お散歩を終え、帰宅したナナと薔と花子は、いつも通りの光景を醸し出しております。
その後はみんな揃っての、お夕食タイムと相成ったのでした。
『あなたの部屋って本当に、季節感がまるで無いのね。』
『いけなかったかい?』
9時をまわっております。
只今、ナナと薔はソファに並んで、花子も一緒に月9を観ておるのです。
もちろん、観だしたのはナナである。
『だって11月に扇風機よ?信じらんない。これじゃあ、運も飛んでゆくわ。』
『でも、僕には君がいるさ。』
この内容で視聴率を確保できるのかが疑問であるが、
(おわぁあ!いい雰囲気だよ!)
ナナだけが、わりと手に汗握っている。
そんななか、
トサッ――――…
突然、彼女の肩へと、薔があたまをもたせてきたのだ。
ぎゃあ――――――――――――っ!
こころで雄叫びを上げたナナは、真っ赤になってどうにかふるえを抑えようとした。
(あわわわわわぁ!どうなされたのだ!?何をなさるおつもりなんだ!?)
ドラマより先にいい雰囲気へと突入しちゃうのか、とにもかくにも真っ赤っかのナナさんは心臓が飛び跳ねるほどに慌てまくったのだけど、
(…………あれ?)
そのまま何もされないため、ゆっくりと視線を隣へ向けてみた。
はい、薔は静かに眠っておりました。
(可愛いすぎるじゃないの――――――――――っっ!!)
おーっ、ぉーっ…(※キュンのエコー)
(あああああ!そしていい匂いだよ!でもふるえるな、わたしよ!ふるえたら、このひと起きちゃうから!)
必死になって言い聞かせ、心臓のドッキドキも何とか鎮めようとするナナであるのだけど、
ぎゅっ…
眠っている薔はちょっとつよく、抱きついてきたのだ。
ぎゃあああ――――――――――――っっ!
もはやナナは、気絶寸前であります。
(えっと、わたしは何をしてたんだっけ!?)
月9を観ていたんだけど、何が何だかわからなくなっておりますナナは、整うはずもない呼吸をいったん整えようとした。
気を利かせた花子は、リモコンでテレビを消してからお部屋へと尻尾をフリフリ向かいまして。
ナナの呼吸が整うより早く、
「ん――――――…ナナ…」
と、寝惚けているのかやけに甘い声で、薔は呟いたのでした。
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