※※第106話:Make Love(&Hand cuff).50







 手錠をしたまま歩いては帰れないため、ナナはこけしちゃんの提案で醐留権に家まで送ってもらった。

 玄関まで来てフォローしてくれれば良いものを、物分かりの良いこけしちゃんと醐留権は、ナナを降ろしてからニコニコとドライブへ繰り出して行ったのでした。















 「………………、」

 そして、只今空気は、だんだん険しくなってきております。


 …………ひぇぇえ!

 またしても、ナナはリトマス紙状態か。




 「…おまえ、桜葉ん家には何しに行くと言った?」
 「けけけけケーキを作りに行くと言いまして、その通りケーキを作っておりました…!」
 有無を言わせぬ質問に、震えながらも正直に答える、ナナ。


 そんでもって、

 「なら、どこのどいつの仕業だ?」
 「つ、司くんが、ポストの遊び心で、鍵を忘れ物でして……」

 薔の不機嫌さに圧倒され、かなりしどろもどろであります。




 説明が意味不明なのは、とりあえず置いときまして。

 「桜葉には悪りぃが、…沈めてくるか、」
 「ほぎぇーっ!?どこに沈めるんですかーっ!?」

 大急ぎで彼を引き留めに入ったナナは、手錠をされているため、

 ぎゅうっ

 と服を掴むつもりが、

 どさっ…

 背中に顔をうずめてしまった。





 …――いい匂いすぎて窒息!





 「…何やってんだ?」
 「ふぉふぇ…ふぁあ……」

 ナナは必死で、“ごめんなさい”と謝ろうとしております。




 そのまま、窒息寸前の幸福感に包まれていようとしたのだけど、

 「どうせならこっちにしろ、」

 ぐいっ

 「ふぇ…っ?」

 向きを強引に変えられ、

 ぎゅっ…

 抱きしめられていた。





 (あわわわ…!どっちも幸せすぎる!)
 しなやかで力強い腕のなか、ナナはたいそうハスハスしております。

 今度は胸に顔をうずめ、幸福感に包まれまくっていたのだけど、

 「なぁ、ナナ、」
 「は、はいっ、」

 至ってやさしく、薔は確かめました。

 「俺以外に捕まっちゃ、ダメだよな?」





 「それはそうなんですよ…」
 控えめに答えたナナさんは、

 「そいつがわかってたことだけは、褒めてやってもいいが、」

 ひょいっ

 抱きかかえられちゃいました。

 「捕まっちまったもんは、どうしようもねぇな、」






 ………………え?




 「来い。」
 「おぉぉおおわぁぁぁああ!?」





 ……これはもう、逃げも隠れもできませんね!

 やたらいつもですが!

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