※※第91話:Make Love(&Bite).37
下調べはおそらく、今後に生かされてゆくことでしょう!
11月ですので、日が落ちるのも早いものでして、だいぶ暗くなってからの帰宅となったのですが、
「またね!こけしちゃん!」
バスの中からニコニコおっとりと手を振るこけしちゃんを、見送った後。
「ワン!」
バス停で、ナナの後ろから突然、花子の声が聞こえたのです。
「えっ…?」
何事かと思ったナナが振り向くと、
「ちょうど良かったな、おまえも一緒に行くか?」
花子のリードを手に、威風堂々と薔が歩いて来るところであった。
…定番のお散歩コースでいくと、この道を通るのはいつも逆方向からなんだけどね!
――――――――…
こけしちゃんが、バス停でバスから降車しますと。
タイミング良くなのか、黒いベンツが横付けしてきたのですな。
寒さによって赤かったこけしちゃんの頬には、まったく違う赤みが差しまして、
「送っていくよ、」
助手席の窓を下ろし、醐留権は彼女へと微笑みかけたのでした。
「たい焼きってすごいですね!骨が一本も入っていないんですよ!?おまけに生臭くないんですよねぇ、」
「おい、あんま可愛いことばっか言ってっと、ここで押し倒しちまうぞ?」
「えええ!?」
「ワン!」
こちら様は仲良く、お散歩の途中でございます。
「今の花子ちゃんは、賛成なんですかね?反対なんですかね?」
「賛成に決まってんだろーが、」
「ワン!」
「えええええ!?」
否応なしにナナの頬も、寒さによるものではなく赤いですな。
薔はちゃんとナナと手を繋いでもおりますので、彼はまさしく両手に花状態なのでございました。
――――――――…
こけしちゃん宅の前に到着いたしまして、エンジンを切った車内にてふたりっきりであります。
「葛篭先生ぇはぁ、随分と律儀なのねぇぇ。」
「そのようだ、」
このとき、実は醐留権は葛篭から“あるもの”を預かっていたため、言伝てと共に彼女へ手渡したのだ。
「エヘヘぇ、これだとまたみんなでぇ、一緒に行けそうねぇ、楽しみぃぃ。」
「暮中がふてくされるのが、目に浮かぶようだが、」
「えぇぇ、ゾーラ先生ぇ、何その妄想ぅぅっ。」
「桜葉!?」
とたんに萌え始めたこけしちゃんでして、それでもふと、
ふたりの視線は、宙で交わった。
ドキドキドキドキ…
実にいいムードで、このままキスに突入か!?とも思われた瞬間、
トントン
「姉ちゃーん!ゲイちゃん待ちくたびれてるよお?」
ゲイちゃんの前脚でもって車窓をノックする司が、ロマンチックを阻止してしまったのだ。
“おれの足を勝手に使うんじゃねぇよ、”
ゲイちゃんは後で、司にお仕置きです。
「あぁぁ、司ぁ、いいとこだったのにぃぃ。」
おっとりにおいてプリプリするこけしちゃんですが、
(……ゲイ?)
醐留権はその点についてが、気になって仕方ないのであった。
……葛篭先生からの御礼の品って、一体何なんだろ!?
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