※※第105話:Make Love(Climax?).49







 ……かぁぁあっ

 腕のなかで、ナナは瞬時に真っ赤になって。


 「…おまえを幸せにするためには、多少の金も必要だけどな、」
 薔はちょっと笑って、つづけます。







 耳まで赤いので、恥ずかしさのあまりナナは隠れようとして必死だ。



 「なぁ、ナナ、」
 「は、はいっ、」

 そのなかで、薔は更なる告白をつづけたのだった。

 「俺はもう、過去を背負う自分とは、さよならするよ。」

 と。














 「どんな過去でも、そいつがあったからこそ、おまえとこうしていられる…」
 すぐ近くで、やさしい声は響きます。

 「だから、ナナ、ずっとそばにいてくれ…、俺にはおまえがすべてなんだ。」













 (どうしよう…、幸せすぎて、わたし……)

 ナナは、ここにきてくるしいくらいに、“幸せすぎて死にそう”という感覚を味わっていた。




 (…いい匂い……)
 涙がひとすじ、頬を伝い落ちる。


 しかし照れ隠しのつもりか、ナナは思わず、
 「は、花子ちゃんは…?」
 ですが、
 「花子は花子だ、つってんだろ?」
 やはり至って堂々と、返されておりました。







 そして、

 「あっ、そっ、そろそろ、着替えますか?立派な制服に、シワが…」
 真っ赤で笑いながら、そう提案したナナだったが、

 ぎゅっ…

 更につよく、抱きしめられていた。











 離すまいとする薔は、耳もと、吹きかけました。

 「愛しすぎて、触れていねぇと狂いそうだよ……」







 やさしい狂気に、囚われて、

 「おまえもそうだと、嬉しい…」

 切なく甘く、囁きは浸透する。




 ぎゅうっ…

 ナナは素直に、薔へとしがみついた。







 そうっと、髪を撫でられる。

 世界で一番胸が騒いで、世界で一番心安らぐ場所。



 …――わたしのすべてはいつも、あなた次第だ。

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