※※第105話:Make Love(Climax?).49






 外は寒いけれど、ここは、あったかい。




 「これよりもっと、他にもあんだが、」

 やがて、薔は静かに語り始めた。

 「俺の家族が、遺した金だ。」









 「でも、こちらだけでも、ものすごい額ですね…」
 ナナは計算を試みていたのだけど、途中から何が何だかわからなくなった。

 「わかり易く説明すっと、そんじょそこらには無え、すげえ家柄だったんだよ、俺ん家は。」
 そして、薔はちょっと笑っておりまして、

 「えええええ!?」

 ナナは飛び上がる勢いで、たいそうびっくり仰天した。


 「ととということは、そのまんま、薔は王子様だったんですかーっ!?」
 「日本は王政じゃねえぞ?」





 突然の衝撃的すぎる事実に、ナナはまだ頭の中がちっとも整理できておりません。



 そのなかで、

 「こんだけの遺産、俺が一人で相続しちまったからな、何度か親戚の奴らに、殺されかけたこともある。」

 笑いながら、薔がこう明かした直後、

 「ぜっったいに許せませんねソイツら――――――――――――っっ!!!!」

 あーっ、ぁーっ…(※激怒のエコー)

 怒髪冠を衝く勢いで、ナナは怒りの雄叫びをあげた。





 「…ゴホッ、へんなっ、とこ、入っ…」
 「大丈夫か?」
 勢い余って、むせてしまったナナの背中を、薔がやさしくさすっております。


 そんでもって、

 「うううっ…、薔にそんなことをするなんて、絶対に許せないです……」

 ナナは肩をふるわし、涙をポロポロと零し始めたのだ。



 「安心しろ、ソイツらとはとっくに、縁を切った。」
 「グスッ…、でもぉ…」
 泣きじゃくる彼女を、薔はそっと抱きしめたのですが、

 「まぁ、まだ諦めきれてねえ奴らは、いるけどな、」

 と、つづけたのでした。






 「わたしが、何としてでも、薔を護ります…!」
 めっちゃ鼻声で、それでも決心は強くナナが顔をあげると、

 クスッ

 と薔は、笑って、

 「ほんとは、この金全部、持て余してた、今さら失ったってどうってことねぇんだよ、」

 再び彼女を、つよく抱きしめて告げた。


 「でも、おまえだけは、誰にも渡さねえ。」

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