※※第105話:Make Love(Climax?).49








 ドキドキの帰宅です!


 (あああ、ついにやってきちゃったよーっ!)
 ブレザーだけ脱いで、ナナは更にあたまを抱える。


 (うううっ…、こわいよ、どうしよう……)
 とかふるえながら、オロオロと顔をあげると、

 「…………あれ?」

 彼女は、リビングのある変化に、気づいたのだった。

 「お写真が、変わってる…」














 それは、あの雨の日、初めてここに来たときから、飾られていた写真のことで、

 「………………、」

 ナナは黙って、“三人で写っているその写真”に、そっと手を伸ばした。



 その瞬間、

 「ほんとはもっと早くに、変えるべきだったよな、」

 背後より、穏やかな薔の声は響いたのだった。







 「あの…、」
 振り向くと、彼もまだシャツのままで、

 「ここに座れ。」

 と命じられ、ナナはちょこんとソファに、腰かけました。



 ドキドキはしているけれど、先ほどまでのような不安は、不思議なほどになくなっている。

 薔もナナの隣に、並びまして、

 「花子、あれ持って来れるか?」
 「ワンッ!」

 お利口に返事をした花子が、尻尾を振りながらいったん奥へと向かっていった。




 (んん?花子ちゃんは、何を取りに行っ)
 「おまえ、随分と大人しいな、」

 …………ぎぇえ!



 「だって、すんごく緊張してるんですよーっ!心臓はずっとうるさいですけど!」
 「たまには脱がされるときも、そんくれえ大人しくしとけ。」
 「うはぁ!」

 とか交わしながら、ナナが真っ赤っかになったところで、

 ちょこん

 “それ”を咥えて来た花子が、ご主人さまの隣にお座りをしたのでした。




 「ありがとな、」
 微笑んで花子をなでなでしてから、薔はそれを受け取って。
 花子はとっても嬉しそうに、いったんお部屋へと向かって行きました。



 「おまえ、こいつの見方わかるか?」
 「はい…?」
 目をぱちくりさせたナナへと、薔は花子が持ってきた通帳を手渡す。







 何となくでしか、見方がわかってはいないナナなのですが、

 「開いていいぞ、」
 「あっ、はい…」

 恐る恐る、開いて見てから、



 「……ぜ、0がいっぱい…」

 思わず、言葉を失った。

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