※※第91話:Make Love(&Bite).37







 そんでもって、放課後です!


 「あのぅ…、薔……」
 「なんだ?」
 これから一緒に帰るのかと思いきや、ナナは控えめに彼へとこんな伺いを立ててきたのだ。

 「こっ、これからこけしちゃんと、ちょっとお出かけしてきても、いいですか…?」

 ってね。




 「あぁ、別にいーぞ?」
 薔は落ち着いて返しまして、
 「ああああありがとうございます!」
 大感激したナナ。

 は、活動がだいぶ落ち着いているため、部活をお休みするこけしちゃんの元へと駆けてゆく途中、

 「あのっ、すみません、なるべく一人ではお帰りにならないでくださいね!?」

 後ろ髪引かれる想いもあり、そう言い残して行ったのでした。










 我こそは、と名乗り出たい人物はこの場にかなりおりまして、当の薔はと言いますと、

 「おまえ以外の誰と、帰れ、つうんだよ、」

 呆れたみたいにこんなことを、呟いたのであった。







 「薔くん、良かったら俺と愛羅さんが、一緒に帰るよ?」
 「いいわけねぇだろ、全然方向違ぇだろーが、」

 明るく名乗り出た羚亜だったが、即却下された。




 「あら?三咲さんと桜葉さんは、もう帰っちゃったの?珍しいことがあったものね、」
 ちょうどそこへ、葛篭先生が訪ねてきたんだとさ。

















 ――――――――…

 ナナとこけしちゃんは、一大イベントへ向けての下調べと題して、例の中央公園やなんかのある繁華街へと繰り出して行ったのである。


 「あぁぁ、ナナちゃぁん、たい焼き食べようぅ?」
 「たいやき!?」
 しかしやはり乙女たちですので、甘いものの誘惑にもそれとなく乗っちゃいます。





 「なんだか柔らかいんだけど、こけしちゃん、こちら中に骨は入ってるの?」
 「ううんぅ、これねぇ、中身はあんこなのぉ。」
 「おおおっ…!?」

 ナナさん、生まれて初めてのたい焼きであります。



 「これ美味しいね!」
 「でしょうぅ?」

 ふたりして歩きながら、たい焼きを食べている最中のこと。


 「?こけしちゃん、どうしたの?」

 ふと、目をぱちくりさせたナナの隣で、こけしちゃんがコロコロと笑っていたのです。


 そして、

 「あのねぇぇ、ナナちゃぁん、」

 笑いながらこけしちゃんは、告げたのでした。

 「あたしねぇ、ナナちゃぁんと一緒にいるとぉ、気づかなかったことに気づけるからいつも楽しいなぁと思ってぇぇ。」

 と。





 「こっ…、こけしちゃーん!」
 ナナはなんだか、感動のあまり泣きそうである。

 「エヘヘぇ、あのねぇ、ナナちゃぁん、ここにあんこが付いてるんだけどねぇ、やっぱりこれは薔くぅんに取ってもらわないとねぇぇ。」
 「ぎゃあ!恥ずかしいよ、こけしちゃん!」

 自分の口元にゆびを当てその場所を示し、こけしちゃんは実に楽しげににっこにこで。
 慌てふためくナナは、真っ赤っかでございます。



 腹が減っては何とやら、か、たい焼きで腹ごしらえできた乙女たちは、はしゃぎながらいよいよ下調べを開始したのであった。

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