※※第104話:Make Love(&Lesson).48







 彦一は、ただ行くあてもなく、日が沈みゆく街中を歩いていた。


 そこへ、

 「ねぇ、」

 一人の人物が、声を掛けてきたのである。

 「俺と手を組まない?」








 ドキリとした彦一が、ゆっくり、振り向くと、

 「あのふたりを、引き裂きたいんだろ?」

 見たこともない金髪の男が、後ろに立っていた。



 「………………、」
 サングラスを掛けている点が怪しくて、彦一は足早に歩きだす。

 その背中へ、

 「俺、三咲 ナナの秘密、知ってんだよ、」

 男は投げ掛けた。

 「その秘密を知ったらあんた、ますますふたりを引き裂きたくなるよ…」






 「君は、一体…」
 彦一は再び、恐る恐る振り向いた。


 すると男は、

 カチャ…

 サングラスを外して言った。


 「安心しなよ、俺が欲しいのは、“片割れのほうじゃないから”。」








 そこで初めて気づいた、屡薇の瞳は、左右の色が違っていた。

















 ――――――――…

 夜も激しく、抱かれたのだろう。

 今、ナナは、裸同然の格好で穏やかに眠っている。





 スッ――――…

 カラダを起こし、彼女を見つめていた薔は、そっと手を伸ばした。
 彼も上半身には、何も纏っていない。



 しばらくの間。

 それはそれは、愛おしそうにナナを見つめ、少し乱れた髪をやさしく撫でていた薔は、

 「……潮時か、」

 ふっと、とても静かに、告げたのでした。


 「そろそろこいつに、残りのすべて話して……、さよならしねぇとだな……」
















 …―――――Do what?

        He loves her.

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