※※第104話:Make Love(&Lesson).48







 …――そうでした。

 かなしみにうちひしがれて、見失いそうなときも、

 どうか、導いてください、

 わたしは、あなたのまえでなら、泣いてもよかったんです。










 こころ強かった。

 ふたりでただ、こうしていると、忘れそうだったものが、ちゃんと思い出せたような気持ちになれた。


 「なんか…、不思議ですね…」
 「ん?」
 やがて、心地よい腕のなかで、ナナは微かに笑いながら言いました。

 「薔の言うことが、わたしにはすべてでした…」






 「だろ?」
 「はい…」

 ちょっとだけ、離れないように離れて見つめあいます。


 そして、

 「どうせなら泣いてるときに、見ときたかったな…、おまえの泣き顔、すげえ可愛いんだよな…」
 「恥ずかしいですってぇっ…」

 とか交わしながら、笑いあって、


 チュ――――…

 ふたりはやわらかく、くちびるを重ねたのでした。





 「ん……」
 くちびるの感触で、全身は堪えがたい悦びに満ちた。


 ちゅ…ちゅっ…

 何度かくちづけを交わしてから、

 「や…っ、くすぐったい…です……」

 舌を絡めるまえに、薔のくちびるは頬やなんかへと伝ってゆきます。



 「じっとしてろよ…」
 「んんんっ…」
 時折、ナナの躰はびくんとふるえ、この段階で感じすぎてしまった。





 やがて、再びくちびるのうえにくちびるはたどり着き、

 「それにしてもおまえ、大したことねぇなんよく言えたな、」
 「んえぇっ…?」

 薔は、囁いたのです。

 「自信持て…、俺にとっては、おまえが誰よりも可愛いんだよ……」






 (んきゃあ――――――――――――っ!)


 照れくさくて仕方なかった、ナナでしたが、

 「まぁ、そんだけ可愛いおまえだしな、あんま自信持っちまっても困るか、」

 次に薔はクスッと笑うと、

 ちゅくっ…

 いよいよ、舌を絡めていったのです。

[ 199/538 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る