※※第104話:Make Love(&Lesson).48







 無言で、部屋へと戻りました。

 バタン――――――…




 リビングにて、花子は静かに伏せをして待っていたが、ふたりが戻るといったんお部屋へと向かって行きました。










 「ナナ、あいつに何か言われたのか?」
 やさしくソファに座らせて、おんなじようにやさしく問いかけた薔のとなり、

 「……薔は、わたしがいると、死んじゃうん…ですか…?」

 既に涙声のナナは、震えながら返したのだった。





 「おまえはそう、思うのか?」
 「わかんな…っ、でも、わたしは薔を、殺しちゃうみたいです……」

 とうとう、ナナはポロポロと涙を溢れさせ、

 「どうしましょう…、わたし、薔をっ、殺したくない…です…」

 肩を震わし、泣きだした。

 「うぇっ…、えっ…、殺す気なんてっ…ないっ、のに…っ、大したこと…ないっ、なん…ぇっ、わかってた…のにぃ…っ!」









 「わたしっ、これじゃなんっにも、いいこと、持ってない…れすっ、」
 そのまま、泣きじゃくっていたナナは、

 ふわっ…

 そっと、抱きしめられていた。








 「離して…くださいよぉ…」
 「離せるわけねぇだろ。」
 少しの抵抗を見せるナナだったが、薔は彼女のあたまをよしよししている。




 「……グスッ、」
 大好きな匂いと体温が、かなしいほどに心地よい。

 ほんとうは、これっぽっちも、離れたくなんかなかった。






 「おまえってほんと、バカだな、」
 「知ってますよぉ…」
 涙もこころも、次第に、穏やかになってきて、

 「いいか?ナナ、教えてやる…」

 状態はそのまま、やさしく薔は告げ始めた。

 「おまえがいなかったら、俺は死ぬかもな。」








 「え――――――…?」

 ナナは泣きはらした顔を、ちょっとだけ上げて、

 「だから、殺したくねぇならそばにいろ。簡単なことじゃねぇか、」

 少しつよく抱きしめ、あたまにキスをすると、薔ははっきりと言葉を落としたのだった。


 「それにな、大した女じゃねえなら、俺はおまえのために、血なん流さねぇよ。」

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