※※第104話:Make Love(&Lesson).48







 「何のこと…、ですか…?」
 ナナにはまったく、意味がわからない。


 しかし、男は続けた。

 「鎧さんはああ言ったけど、おれはどうもあんたが信用ならない。なぜならあんたは、」












 「竜紀と、接点があったようだしな。」
















 …――――――りゅうきって…



 夕月の後にはそいつの名前を出されて、ナナは心底動揺し、戸惑った。




 「何かの魔法でも、使ってるの?それとも、呪い?」
 男は嘲笑を浮かべ、近づくと、

 がしっ

 ナナの腕を、掴んで言いました。


 「消えろよ。どうせあんたも、薔を、殺す気なんだろ?」

















 「ワンワンワン!」

 先ほどまで大人しかった花子が、けたたましく鳴きながらキッチンへと駆けていった。


 「花子?」

 怪訝に思った薔だったが、


 「…――――――――っ!」

 何かを悟り、ものすごい速さで部屋を飛び出して行きました。













 ふるふるっ…

 ナナは死に物狂いで、首を横に振った。


 ……意味がわからない、

 意味が、わからないよ……




 そんなナナの腕を掴み、男はとどめをさしたのだった。

 「あんた全然、大したことないのに、何で薔はあんたみたいなのに執着してるんだろ?」
















 バッ――――――…!

 ナナはつよく、男から引き剥がされていた。




 「彦一、てめえ、俺のこいつに気安く触んじゃねえ。」
 言葉を失うナナを抱き寄せ、薔はとてつもなく険しい表情で言い放つ。

 「わ、悪かった、日を改めよう、」
 雰囲気の凄さに圧倒された彦一は、冷や汗混じりにふたりに背を向けた。






 「待てよ、」
 すぐさま追いかけようとした薔だったが、

 ぎゅっ…

 彼の服を掴み、ナナが制止した。





 「……ナナ?」
 歩みを止めた薔に向かって、俯く彼女は必死で首を横に振っている。



 彦一は足早に、その場を去ってゆきました。












 ――――――…

 物陰にて。


 「いいこと聞いちゃった。」

 一部始終を聞いていた屡薇は、ただ楽しげに、笑って言った。

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