※※第104話:Make Love(&Lesson).48
男は近くで見てみると、まぁ、なかなかのイケメン青年だった。
「あのぅ…、」
ナナは何かを言いかけた。
そんな彼女に向かって、男は言った。
「金が目当てか命が目当てか…、君、…“あいつ”の知り合いだよね?」
――――――――…
「…なるほど。司くんは、その女性を好きではあるけれど、親友の慎くんともずっと仲良くしていきたいんだね?」
「うん…」
確かめた醐留権のまえ、司は赤いほっぺで小さく頷いた。
(可愛いものだ…)
こころではかなり、微笑ましく思っている醐留権は、
「それなら司くん、君のしたいようにすればいい。焦る必要も無理をする必要もないよ、君はまだ若いのだから。」
そう、優しく言い聞かせたのです。
「なんか、ゾーラ兄ちゃんも、姉ちゃんみたいなこと言ってる…、てことはゾーラ兄ちゃんは、会社の社長さんなのお?」
「あはは、司くん、それは嬉しいんだが、私はれっきとした先生だよ。」
控えめに聞き返す司ですので、醐留権は思わず笑ってしまい、
「好きという気持ちも、仲良くしたいという気持ちも、同じくらいに大切だ。だから、大切にしなさい。」
と、つづけたのでした。
「やったあ!ゾーラ兄ちゃん、ありがとう!先生だと思うと、せっとくりょくってやつがある!」
「それは良かった。司くんが焦りも無理もしなければ、ふたつの気持ちは大切にできるよ、安心しなさい。」
そして醐留権が、更につづけると、
「おれ、今になったから言えるけど、ゾーラ兄ちゃんなら兄ちゃんにしてやってもいいよ!」
元気よく言葉にした司は、ここ自分の家じゃないけど勢いよく廊下へ飛び出してゆきました。
「姉ちゃーん!」
「………………、」
醐留権はいったん黙ったあと、眼鏡をくいっとさせますと、
「…クリスマスあたり、ご挨拶に伺おうか、」
ひとつの決心をしたようだった。
……もしや、ご両親にか!?
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