※※第104話:Make Love(&Lesson).48
「んん?」
ナナは、ほんの少しだけ身を乗り出した。
まさか自分を手招いているのだとは思わなかったのだけど、明らかにナナを男性は見ている様子だ。
「………………。」
黙って後ろを向くと、不審者ならけたたましく鳴くはずの花子が、鳴かない。
「何事だろう?」
首を傾げながらもナナは、いったん部屋の中へと戻った。
薔はキッチンで、昼食の後片付けをしている。
洗濯より後片付けは?はとりあえず置いときまして、まぁ本日は、ナナはバイトが休みなんでってことで。
またこのひとに、あんな心配をかけるわけにはいかないな……
そう思ったナナは、
「あのぅ…、」
「なんだ?」
恐る恐る、尋ねてみた。
「ちょっとわたくし、下にジュースを買いに行ってきてもよろしいでしょうか?」
「俺が行ってくるか?」
「いやいやいや、薔は後片付けしてくださってるんで、わたくしが自分で行ってまいります!」
落ち着いた提案に、必死で返したナナですので、
「なら、気をつけて行ってこいよ?」
薔からのお許しが、出たようである。
「ありがとうございます!すぐ戻ります!」
ペコリとあたまを下げたナナは、大急ぎで部屋を飛び出した。
――――――――…
「桜葉、車内でもずっと気になっていたんだが…、司くんはいったい私に、何を相談したいんだい?」
玉露を飲んだ醐留権は、若干気まずそうに尋ねました。
「うえ〜、これにげぇ!」
「あのねぇ、ゾーラ先生ぇ、それはふたりっきりでぇ、話してあげてほしいのぉぉ。」
玉露に舌をべろりと出した司の隣、こけしちゃんはニコニコと彼氏にお願いします。
「なるほど…、なら、桜葉はここにいてくれたまえ。私と司くんは、別室で話をしてくるよ。」
「ゾーラ先生ぇ、ありがとうぅぅ……」
微笑んだ醐留権のまえ、たいそううっとりするこけしちゃん。
「司くん、行こうか、」
「ふつつかものですが、よろしくお願いしまーす!」
そんでもって、深々とあたまを下げた司を、醐留権は優しく別室へと案内していきました。
バタン――――――…
「司ぁ、嫁ぐ気満々ぅぅ…、でもダメよぉ?ゾーラ先生ぇはぁ、お姉ちゃぁんのゾーラ先生ぇなんだからぁぁ…」
見送るこけしちゃんは、こころで色んな涙を流したりしておった。
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