※※第103話:Make Love(so Captive).47
特に早すぎる初雪が降ることもなく、至ってラブラブふたりは帰宅です。
「ワンッ!」
玄関にて、大喜びでお出迎えした花子は、ナナの荷物をふたつ咥えて尻尾をフリフリ奥へと向かって行きました。
……花子よ、それ一つだけ、ご主人さまの目の届かないところに隠しといてあげて!
ナナには見つかるようにね。
リビングにて。
「あのぅ…、」
「なんだ?」
マフラーを解いてコートを脱ぎながら、ナナは控えめに尋ねてみた。
「今日は、お忙しかったですか?」
ってね。
「すみません…、お家のことももっと、わたし、お手伝いしないとです…」
そして、やはり控えめに、かつ申し訳なさそうにナナが告げると、
「あぁ、実はな、」
ジャケットを脱いで、特にどうということもなく薔は明かしたのでした。
「今日は夕月さんと、出掛けてたんだよ。」
と。
「えええええ!?」
ナナはこれでもかと言うほど、びっくり仰天した。
なんてったって、休憩室にて読み耽っていた内容が内容。
「そそそそそんな!ということは“こわい”とか、可愛らしいお声で言っちゃったんですかぁ!?」
「あ?」
……しまったぁぁぁああ!
大興奮のせいなのか、ついうっかりのナナさんは、
「何のこと言ってんだ?おまえは、」
「ひぎゃあ!近いですってーっ!ぜんぶ!」
ドサッ――――…
ソファに追いつめられちゃった。
くいっ…
重なって、息を整える間もなく顎は持ち上げられ、
チュ――…
くちびるは奪われた。
「ん…っ、ふ…っ、」
恋い焦がれた甘い匂いに包まれ、ナナはすぐさま目眩を覚える。
くちゅっ…
初っ端から舌が絡まって、とろけそうなほどに濃厚なキスは迫り来て、
「んぅ…っ、…っん、」
薔へとつよくしがみつくナナは、愛おしさと気持ちよさに涙すら流しながら、夢中になって舌を伸ばした。
「ん…っ、は…ぁっ、」
まだ足りないと求めるなか、唾液では繋がって僅かばかりにくちびるを離すと、
「……んんんっ、薔っ、」
「どーした?」
涙は拭われるなか、めちゃくちゃ甘えた声で、いてもたってもいられなかったナナは素直に求めていたのでした。
「触って、ください…、今のわたしには、薔がぜんぜん、足りないん…です……」
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