※※第102話:Make Love(&Creme fraiche).46






 仲良く帰宅です。

 夕食の支度はほとんど出来ておりましたので、つまみ食いはしたけど腹ペコだったナナの熱き要望により、お着替えもせずにすぐにみんな揃ってのディナータイムと相成りました。








 そして、いよいよ、

 「こちら、こけしちゃんと一緒に、作ってまいりました…!」

 スイーツの時間です!




 「おまえ、すげえな、惚れ直しちまったぞ?」
 「えっ?そんな、エヘヘっ、…って、今なんとおっしゃいましたーっ!?」
 さらりと告げた薔のまえ、真っ赤っかになるナナ。

 「惚れ直しちまったぞと、言ったが?」
 「あぎゃあ!もういっかい言ってくださったよーっ!」
 そして、大感激。

 よかったねぇ。




 「ああ!それより、冷めるといけないんで早く食べましょう!」
 「さっきまで冷やしてあったがな、」
 ナナはおそらく、くすぐったさのあまり気が動転しておりまして、立ったまんま、

 サクッ

 とナイフでカットするつもりが、

 べちょっ

 左手のゆびを、突っ込んじゃった。




 「ぎゃあ!冷たい!」
 「それがわかっただけ、良かったじゃねーか、」

 笑っている薔のまえ、ナナはすぐさまゆびを引っこ抜きまして、

 「すみません…、気を取り直して……」

 人差し指を控えめに伸ばしたまま、再びケーキカットに取りかかろうとした。




 すると、

 くい…

 ナイフが入って固定されたところで、左手を取られたのである。



 ドキッ!

 として、ゆびさきに潤みゆく視線を送ると、

 ちゅっ…

 生クリームが付いたそのゆびを、そっと、咥えられた。



 「あ……」

 火照るからだが、瞬時に熱くなる。


 薔はやけに艶かしく、ゆびさきを舐めてから、

 「甘ぇな、」

 フッと、微笑んだ。





 「ほんと…、ですか…?」
 ナナは微かにふるえるくちびるを、おもむろに開き、

 「おまえも、味見するか?」

 やさしく伸ばした手で、薔は彼女の頬を撫でながら、誘う。




 こくん…

 とナナが頷いたところで、

 ぐいっ

 今度はちょっと強引に、引き寄せられまして、

 クチュ――…

 くちびるを奪われた。



 「ふぅ……っ、ん、」

 前屈みになった状態で、理性を絡め取られる。
 包み込む甘く心地よい匂いが、ナナの全身を支配してじわじわと濡らしてく。


 チュクッ…

 開いては閉じ触れあうくちびるが、舌と共に唾液を混ぜて音を立てる。





 …――生クリームのせい?

 キスはとろけそうなほどに、甘く濃厚な味がした。

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