※※第102話:Make Love(&Creme fraiche).46







 いささか時間はかかりましたが、こけしちゃんと仲良く楽しく小さめのケーキを焼いて(司はゲイちゃんが何とかしてくれた)、ナナは半分持って帰ることにしました。
 さすがお菓子作りが得意なこけしちゃんは、ラッピングやなんかも可愛いやつを教えてくれた模様です。










 冬だし暗いんで、バスで帰ったわけなんですが、

 「うわあ!寒いよーっ!」

 バス停で降りた瞬間、12月の寒さが身にしみてきたようだ。





 (早く帰って、あのひとと一緒にケーキ食べよっと!)
 それでも彼を想うと、こころのなかからあったかくなって、ナナがルンルンと家路を歩きだした瞬間、

 〜♪〜♪

 彼女の携帯が、着信を告げた。




 「んんん?」
 スクバの中から取り出して見てみると、それはまさしく一緒にケーキを食べようとしていたひとからの着信で、

 「もっ、もしもし!」

 寒さによるものではない赤みが頬には帯びて、ナナは大急ぎで電話を繋いだ。




 『おまえ、今何時だと思ってんだ?』
 「うぎゃ!?ちょっ、ちょっと待ってください!えーと、時計は……」
 ご丁寧にも、時計を探してキョロキョロするナナでして、

 『左手にあんぞ?』

 と、なぜか笑いを堪えている様子の薔は、そんなことを促してきた。




 「わたし、腕時計しておりませんけど…」
 『とりあえずは辞書だな、それよりおまえ、寒いんじゃねーのか?』

 左手の手首を、まじまじと見つめていたナナは、

 「あっ!今は寒くないです!そして今日はわたし、薔にお土産を持ってまいりましたよ!」

 明るく答えて、足早に歩きだそうとした。



 すると、

 『その箱のやつか?』

 まさにその通りのことを、彼は確かめてきましたので、

 「えええ!?すごい!なぜに箱だということがわかったんですか!?薔はやはり、超能力を使えるんですよね!?」

 ナナはこれでもかというほど、びっくり仰天した。




 その瞬間、

 『……フッ、』

 とうとう薔は、笑いだしたのだけど、

 (…………あれ?)

 その笑い声は、すぐ後ろのほうから聞こえてきたのである。





 ナナが携帯を耳に当てたまんま、ソロリソロリと振り向くと、


 「あー、おまえ見てるとほんと、飽きねぇな、」

 少し離れて花子と歩いていた薔は、微笑んで言いました。

 「ナナ、おかえり、」








 「あれれれれーっ!?さっきまでお電話してましたよねーっ!?」
 「それよりただいまは言わねーのか?」
 「あっ!ただいまです!」
 「ワンッ♪」
 ナナは未だに、携帯の意味がイマイチよくわかっていないのかもしれない。

 ……この運命的な再会は、偶然ということにしとこうかね。

 花子は鳴かないようにと、一所懸命に堪えていたのでしょう!

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