※※第102話:Make Love(&Creme fraiche).46






 コソコソ…

 四限目あたりのこと、木陰から保健室を見守るハリーは、あきらかに佇まいが不審者だった。


 (なんか、胡散臭いのがいる…)
 運悪くなのか発見しちゃった生徒の皆さんは、職員室に報告すべきか迷ったりしている。




 「OH〜、実穂子サーン、相変わらずお美しいデース!」
 周りになどいっさい構っていないハリーは、至極うっとりしております。





 そのときだった。


 保健室にて、葛篭がわりと爽やかな男子生徒のケガを、手当てしようとし始めたのだ。




 NO―――――――――tsu!






 めっちゃ慌てたハリーは、

 ガラッ

 「悪霊、たいさ――――――――――ん!」

 ロザリオを翳しながら、たまたま錠がされていなかったのであろうな窓を開け、保健室へと乗り込んでいった。






 ゼェゼェ…


 「ハリーさん?」

 葛篭は目をぱちくりさせ、悪霊呼ばわりされてしまったわりと爽やか男子生徒は怯えている。




 「OH、スミマセン…、悪霊でない者に対して使うと、動悸と息切れが……」
 「ぇぇえ?」

 だからふたつの胡散臭さが混ざり合っているのか。



 「それより実穂子サン、ワタクシ、幸せの黄色いラベルヲ、持って参上いたしマシタ…」
 それでも、一所懸命にラベルを差し出すハリーですので、

 「……プッ、」

 思わず葛篭先生は、笑いだしてしまった。

 「あはははははは!」







 「A、AHAHA〜、」
 つられてハリーも笑う。

 だけど、わりと爽やか男子生徒は、もういっそ教室に帰りたい。






 そんななか、

 「なんでおまえは、授業中に鼻血出してんだよ、」
 「いや、あのですね、読んでいたノートは、鼻から血とはまったく関係ございませんので、」

 とあるカップルが保健室に来室しました。



 「………………、」
 もとからいたお三方は、呆気にとられておりますが、

 「つまりは、関係あんだな?」
 「ないですないです!断じてないんですって!それより鼻血止まりました!」

 ふたりは特に何かしらの手当てをする(される)こともなく、

 「なら、空いてる教室で何かしてくか?」
 「何かって一体何ですか!?」

 保健室を出ていった。


 ピシャ――――…










 「OH〜、あれハ、マサの娘サンと〜、マサの娘サンがぜんぶの世界でいっちばん大好きなかたではあーりマセンカ〜!」
 「よかったわねぇ…、三咲さん……」

 空いてる教室で危ないかもしれないからね。





 (あの〜、おれのケガの手当ては?)

 ……大丈夫、覚えてたよ、

 わりと爽やかだってことはね!







 無事に男子生徒の手当てを終えてから、葛篭先生とハリーは保健室でハガキを描いたりと、なんだかんだでラブラブしておったんだとさ。

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