※※第101話:Make Love(&Make Love!).3







 これが嫉妬なのか、と改めて気づく余裕なんて、今のナナには到底ございませんでした。
 おそらくおねむの花子は、きちんとリモコンでテレビを消して、尻尾を振りながらお部屋へと向かいます。




 「……ナナ?」
 押し倒されちゃった薔は、見上げ、そっと彼女の名前を呼んだ。

 ところがナナは、今にも泣きだしそうな表情で、

 ちゅっ…

 彼にキスを落としていた。






 無我夢中でくちづけても、舌を入れるのはやっぱり躊躇ってしまい、どうしようかと迷っているうちに、

 ちゅく…

 薔からゆっくり、舌を入れてきた。



 「ん……っ、」
 ナナはぶるっとふるえて、感じ、舌は誘われるみたいに熱く絡められてゆく。

 体温も重なって、甘く大好きな匂いが、全身を麻痺させながら感度を増させるばかりで。




 ちゅぷっ…

 「……んっ、ん…っ、」

 堪えきれず声は漏れる、子宮のあたりから疼いていやらしい気分が掻き立てられる。



 やがて、

 「は……ぁっ、」

 熱を持った視線と、とろりとした一筋の唾液では繋がったまま、くちびるは少しだけ離して見つめあった。





 「あ…の、っ、」
 「ん?」
 乱れた息を肩でしながら、ナナはおもむろにくちを開く。
 薔はそうっと右手で、彼女の頬を撫でている。



 「こんな、こと、思う自分が、嫌になりますけどっ…、そんなに、可愛かった…ですか…?」
 やがてナナがウルウルと、振り絞るように尋ねると、

 「あぁ、そうだな、」

 至って落ち着いた雰囲気で、薔は笑って返してきた。




 ナナはとうとう、泣きだすかと思われた。


 しかし、

 「おまえの反応はいちいち、かわいすぎるんだよ、」

 彼ははっきりと、つづけたのです。



 「え……?」
 目をぱちくりさせたナナは、とんだ勘違いもいいとこなんだけど、

 フッ――…

 と微笑んだ薔は、更なる言葉を投げ掛けた。


 「言っておくが、俺はおまえしか見てねぇぞ?」

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