※※第100話:Make Love(in Bathroom).45
「マジでこれ、違ったんだけど〜!」
「似すぎ〜!」
女子高生のグループが、道端にペットボトルをせっせと探している。
そんでもって、
「ちょっと!また捨てるとわかんなくなるって!違うのも集めて捨てとかないとまた、ここうちら回るかもよ!?」
一人の女の子が、ちょっとずれた観点から再びのポイ捨てを阻止しようとしたのだ。
「あんた頭いいわ、マジで〜!それ拡散したほうがいいわ〜!」
「あたし、LINEで送っとく〜、」
「袋なら持ってんよ!」
というわけで、拾ったペットボトルはそのまま回収することとなった。
(女子高生が、制服姿でペットボトル拾ってる、すばらしい…)
下にある心が見えていないので、通行人のかたがたのこころは、なんだかあったかくなっております。
「こういうとこにさぁ、平気でゴミ捨てられるヤツって、ゴミ以下だと思わね?ややこしいんだっつうの。」
「いっそお前が捨てられろ、みたいな〜?」
「ウケる〜。」
……えーと、いささか毒を吐いてはおりますが、結果的にですね、
ボランティア活動に、なっちゃったんですよね!
――――――――…
ほとんど何も把握していないナナは、本日も元気いっぱいアルバイトに励んでおります。
「チーフ〜、昨日はすみませんした〜!」
「いえいえ!いつもとあまり変わりなかったんで、気にしないでください!」
変わりなかったという点がなにげに、元チーフは気になっちゃうんですけど。
それはまぁ、聞き流さない程度に軽くもなく受け止めてほしいんだが(※曖昧)、
「それにしてもチーフ〜、何でこんなとこでバイトなんかしてるんですか〜?見たとこお金には、困ってないようですけどお相手のかたは〜。」
けっこう前から気になっていた質問を、元チーフは恐る恐るぶつけてみたのである。
すると、
「えっと、あの…、」
なんだかもじもじするナナは、控えめに明かしてきたのだ。
「内緒にしておいてほしいんですけど、あのひとに、お誕生日プレゼントを、買って差し上げるためなんですよ……」
と。
(ほほえましい!)
元チーフはなんだかんだで、心打たれた。
「チーフ!ボク、感動しましたよ!」
「えっ?いや、そんな、」
大感動中の元チーフは、ナナの両手をとる。
まさにそのとき、
ダンッ――――…!
レジに、一日中緑茶が2本、置かれた。
はっとしたナナと元チーフが、状態変わらぬままそちらへ目をやると、
「何やってんだ?」
ただならぬオーラを纏い、ものすごく不機嫌な薔が立っておりました。
ぎゃあ―――――――――――――っ!
※元チーフは“ひぇぇぇぇぇええええ…!”
「いらっしゃいませーっ!」
お久しぶりかにリトマス紙状態のナナは、死に物狂いできちんと接客。
元チーフはすぐさま、下方へ雲隠れした。
「今すぐおまえを、連れて帰っちまいてぇな、」
「連れて帰られたいのはやまやまですけど、まだバイトが一時間は残っておりますーっ!」
ご機嫌ななめで告げた薔のまえ、ナナはやはりめちゃくちゃ素直でございます。
元チーフは若干、口から魂が出そうになっていた。
……戻ってこい!
たぶんふたりはもう、ふたりっきりの世界に入っちゃってるからさ!
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