※※第97話:Make Love(&Possessive).43







 後片付けを順調に進めていた薔は、仕上げにシンクを磨いていたのだけど、

 ぎゅっ…

 突然後ろから、ナナに抱きつかれた。




 「どーした?」
 何となく悟った彼ですので、静かに問いかけても、シンクのまえ手は休めません。

 気を利かせたのかおねむだったのか、リモコンでテレビを消した流石な花子は、いつの間にかお部屋と向かっておりました。




 「んん…、薔はいい匂いです…」
 めちゃくちゃ甘えた声でクンクンするナナは、どんどん前へと抱きついてきます。
 「おい、押すんじゃねぇよ、濡れちまうだろ?」
 キレイになり洗い流している最中ですので、ちょっとだけ呆れた声で薔は彼女のほうを見た。


 「えぇっ、やですよお…」
 すると潤みまくった瞳で、ナナは彼を見て、

 「薔はわたしが濡らします…」

 とか言っちゃった!





 「………………。」
 とりあえず薔は無言になってから、

 ぐいっ

 ナナの両手を引っ剥がすと、

 すとん

 手で濡らさないように脇の下から抱き上げて、調理台へと座らせたのである。



 「なら、濡らしてもらおうか、」
 水で濡れているため台へと両手をつき、くちびるが触れあいそうな距離で薔は囁く。

 「んあぁ…っ、薔ぅ…」
 これでもかというほどうっとりと、ナナは彼を見つめると、

 「ちゅうしてください…」

 いきなりおねだりしちゃいました。



 「それがおまえの手順なんだな?」
 薔はちょっとイジワルに、クスッと笑って、

 チュ――――…

 ナナへとくちづけた。





 ……おわかりいただけているかもしれませんが、店長さんがくれたチョコレートには、ちゃんとした洋酒が少々入っておったのです。

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