※※第97話:Make Love(&Possessive).43







 帰ってから花子も一緒にご飯にしたりして、只今、ナナはバイトでしたため薔が後片付けをしております。

 「あの…、お手伝いしましょうか?」
 「いーから、休んでろよ、」

 控えめに申し出たナナでしたが、堂々と返されとりあえずソファにてテレビをつけた。


 花子はナナの傍らへと、優雅に寄り添います。




 そのとき、ナナは、

 …………はっ!!

 とした。



 なので大急ぎで、キッチンのほうへと輝く視線を送った。




 (あわぁ!今ちょうど、さりげなく見とれていられるよ――――――――っ!)

 おーっ、ぉーっ…(※ハイテンションでエコー)





 いつも手際の良い彼が、一時間も後片付けをしているとは到底思えませんが、

 (よーし!わたしよ!見とれてみよう!)
 意気込んだナナは、そのまま視線を留めた。



 ところが、

 (ダメだーっ!いざ見とれようとすると、あのひとかっこよすぎるから恥ずかしくて仕方ないよーっ!)

 すぐさま耳まで真っ赤になって、両手で顔を覆いました。


 花子はつぶらな瞳で、これでもかというほどキョトンとナナを見上げております。





 (そうだ!ここはこけしちゃんの小説を読んで、精神統一とやらをしてから見とれよう!)
 どんな精神に統一したいのか、とにもかくにも真っ赤っかのまんまナナはスクバを手に取った。

 そんでもって、

 (ああっ!)

 とある発見をしたのだ。

 (小説の前に、チョコレート食べちゃお!)

 ってね。






 「薔も食べますか!?チョコレート!」
 仲良く食べることが前提にあるためか、ナナは彼をお誘いしてみる。
 「俺はこっから見えるおまえが可愛すぎて、食いもんは今、何も入んねぇよ、」
 薔は落ち着きはらったまま、さらりとこう返してきた。



 ……ぎゃあああ!




 「でででででは、ちょっとだけわたし、いただいております!」
 「ん、」

 照れ隠しのつもりなのか、更なる真っ赤っかで勢いよくパッケージを開けたナナは、なかなか小粒なそのチョコレートをいくつか頬張ったのでした。

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