※※第97話:Make Love(&Possessive).43






 「そうだ、ナナちゃん、チョコレートは好き?」
 本日の仕事を終えたナナへと、店長さんが明るく声を掛けてきた。

 「はいっ!大好きです!」
 ナナも元気よく、答えると、
 「じゃあこれ、持って帰って、仲良く食べて!期間限定のやつだから!」
 店長さんは何やら薄い箱の、チョコレート菓子を彼女へと手渡したのである。

 「えっ?いいんですか?」
 「いいのいいの、ちゃんとあたしが、購入済みだから!」




 と言いますことで、言われた通りに仲良く食べられたらいいなと思われますナナは、有り難くそれを頂戴したのであった。






 「店長〜、ボクにはないんですかぁ〜?」
 いちおう確かめてみる、ナナと入れ替わりの元チーフ。

 「あるに決まってるでしょ!」
 「店長〜!」

 店長さんは意外と、太っ腹なのかもしれません。
 ちょっとだけ、ね。














 そんでもって、お迎えにきた薔と、あったかく手を繋いでナナは帰ってゆきました。


 「ボクもクリスマスまでには、彼女ほしいな〜、」
 遠い目で見送る、元チーフ。

 「あたしもクリスマスまでには、旦那にせめて1キロ落としてほしいわ〜、」
 高望みはせずしみじみする、店長さん。


 …やっぱりこのコンビニ、店員みんな仲良しなんだよ!













 ――――――――…

 「あっ、あのっ!」
 「なんだ?」
 帰り道、夜でもわかるほど頬を赤くしたナナは、意を決し薔へとけっこう大きな声をかけた。

 「帰ったらしばしの間、薔に見とれさせていただいてもよろしいでしょうか!?」

 ってね。




 「おまえそれ、断ってからするもんじゃねーだろ。」
 「えーっ!?ほんの一時間ほどでいいんですけどぉ!」
 「あ?」


 ……ほんの一時間ほど見とれるって、どういう状況だよ、あわよくば襲われちゃうよ?

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