※※第96話:Make Love(+Planetarium).42







 前方の席に着くのが無難かと思われますが、醐留権御一行様は怖いもの見たさで隣に並んでみました。


 「すごいですね、薔っ、皆さんよくここがわかっ」
 はしゃいでいた張本人が、はしゃぎながら隣へ向くと、

 「………………、」

 これでもかというほど、彼はご機嫌ななめでした。




 ……はうわぁぁあ!



 「ちょっ、あの、どうなさいましたぁ!?可愛くて仕方ないんですけど!」
 「…おまえ、後で覚えとけよ。」
 「えええ!?」



 このやりとりを聞きながら、醐留権御一行様は、結果的にはいいことをしたのだと、悟っていた。




 そしてそんなナナの、萌えの大声により、

 「あら、三咲さん!皆さんもお揃いで、」
 「HAHAHA〜!」

 もう一組にも、発見されちゃったよ。





 「………………、」
 「わぁあ!葛篭先生、白衣じゃないお姿もまた、おキレイですね!」

 …………ナナよ、隣!







 「えっと…、じゃあハリーさん、そこの席に座りましょうか、」
 「Yes!」
 そして、やはりただならぬオーラを感じ取った葛篭とハリーは、

 ちょこん

 と、後ろから二番目の列の隅っこに腰掛けました。
 つまり、ナナと薔の真ん前であります。



 勇気あるな、葛篭先生。

 醐留権御一行様は、感心した。
 こけしちゃんの場合のみ、それ相応に変換を……





 「おおお…!そうだ、こけしちゃん、例のノート、本日、拝見させていただきますよ…!」
 「あぁぁ、ナナちゃぁん、ぜひとも心して読んでねぇぇ。」
 「もちろんだよ…!」
 隣り合わせとなった乙女たちは、コソコソと腐的なトークを交わしております。


 そんななか、

 ぎゅっ…

 突然、ナナは、手を握られた。



 ドキッ!

 として、頬を赤らめ隣を見ると…、

 肘掛けに頬杖を突きふてくされている薔は、ナナのほうは見ずにただ黙って手を繋いでおりました。




 ……はわわわわわぁ!


 キュンキュンすること必至のナナが、悶え死に寸前で彼に声を掛けようとしたところで、


 なんだか優しい音楽が流れ、いよいよプラネタリウムは開演となったのでした。

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