第七話:無二の累卵
「……っうっっ!」
烈しいキスでくちびるを塞がれたとたんに、梨由は達した。
目隠しが作り出す暗闇が一瞬、弾けたように眩しくなった。
武瑠のゆびが自分の中へと何度も入り来る淫らな音は、絶え間なく聴覚を刺激している。
達する瞬間に、痕が残るほど強くくちびるを吸われて、イキ声は嚥下された。
呼吸がひどく難しくなり、ゆびで擦られるヴァギナも気持ちがよすぎて梨由は何がなんだかわからなくなる。
確かなものは兄の与える果てしない快感と、彼の体温、そして仄かに苦くて甘い煙草の匂いだ。
武瑠は妹の秘部を持ち上げるみたいに深くゆびを捩じ込ませて、音を響かせながら中を拡げていった。
抱き寄せられた梨由は、兄のゆびが肌へと食い込む感触にも魅せられた。
熱い舌が触れあい、どうやっても離して欲しくなくなる。
グチュグチュッ――…
ゆびは蜜を次々と掻き出し、シーツをぐしょぐしょに湿らせていった。
薄暗がりに、卑猥な煌めきを帯びて尚も濡れてゆく。
「……っは…っ」
離して欲しくないと心から願っていても、くちびるは離されていった。
荒らげるふたりの吐息が、すぐにまた触れあいそうなくちびるのあいだで絡みあう。
「またイキそう?」
ゆびの動きを速めて、汗により張り付いた髪を撫でて剥がさせた武瑠は、耳を甘噛みして囁きかけた。
「ん…っ、あっ、お兄っ……ちゃ…っ、あ…っ」
懸命に頷いた梨由は、彼のシャツを掴む。
汗ばんでいるシャツの感覚に、ゆびさきは不毛なときめきで支配される。
「じゃあ……今度はちょっとだけ我慢してみようか」
くすっと笑った武瑠は動きを緩め、ゆびを浅くへといきなり移動させた。
反動で、必死になって兄に吸い付く中からは小さな潮吹きが起こる。
「や…っ!やだ…っ、切なっ…よぉ…っ!」
イキたくてじれったくて、梨由はシャツを引っ張り訴えた。
妹が焦れて縋りついてくることも、武瑠は愉しんでいると本能ではわかっていながらも欲しがらずにはいられない。
「安心しろよ、梨由にはもう余計な枷がなくなった、おまえには初めからお兄ちゃんだけなんだからそこまで酷い意地悪はしねぇよ……」
案の定愉しげに笑って、武瑠は耳もとや頬へとたくさんキスをした。
“彼氏”という存在は、兄の手によって“枷”という言葉で片付けられた。
「あっん…っあっ、や……あっ」
浅くを愛撫するゆびではひどくじれったいのに、梨由は感じてしまう。
夢見心地と生々しさが、同時に体内を這い上がり、背徳感を膨張させつつ罪悪感を麻痺させてゆく。
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