第七話:無二の累卵
「……正解」
武瑠の笑い声が、妖しげに聴覚を撫でていった。
梨由は何も言わずに息を荒げた、正解や不正解などまったく関係のないように思える行為に於いても、兄が正解と言うのなら正解に違いなかった。
罰を与える前のささやかなご褒美か、褒めてもらえた気がして悦びに全身がふるえる。
「梨由の正直な気持ちは、躰を見ればすぐにわかる、ここで嘘をついたら今度は中出ししてやろうと思ってたけど……よく素直に言えたな?」
敷かれた布団が僅かに軋み、目隠しを受け入れた梨由は暗闇のなかであたまを撫でられた。
その気持ちよさが、矛盾した熱情を刻み込ませる、避妊はきちんとしてほしいと伝えるべきだったと思っていたくせに、中に出されてもいっこうに構わないと憶ってしまっていた。
「開けるだけ脚開けよ」
妹の髪へ一度強くゆびを絡めた後に、武瑠はあたまから手を離していった。
代わりに、両手で掴まれたパンツが勢いよく引き裂かれる。
「あ…っ、あ……っ」
梨由はそれらを主に耳で感じ、様を思い浮かべながら思い切り脚を開いた。
言いなりになっているという自覚がないからこそ自然と恭順になり、興奮した。
「焦らされた分、余計に濡らしちゃった?」
武瑠はゆっくりと、撫でる脚へと何度もキスをして、曝け出されたラビアへゆびを這わせた。
「前も後ろもびっしょりになってるけど……」
クチッ…グチュッ――…
「あ…あっ、あ…っ、お兄……ちゃっ…っ、あああ…っ」
自分が溢れさしている蜜の音が、卑猥に響いてくる。
ゆびは蕩けそうな愛液を絡め、恥ずかしいその部位で自由自在に動いていた。
膨れたクリトリスをヌルヌルと愛撫されて、背筋が甘く痺れ上がる。
「それだけ梨由はお兄ちゃんに、罰を与えられたかったんだ?」
くすくすと笑いながら、武瑠は入り口の襞を弾いてなぞった。
「ん…っ、あ…っあっ」
頭の中が真っ白状態にされてゆく梨由は、これのどこが罰なのかふと疑問をよぎらせた。
それは瞬時に消えてなくなったが。
ツプッッ――――…
「ああっ…あっあ…っ」
ゆびを入れられて、感じることしかできなくなった。
中の、兄しか知らない敏感な場所へ、ゆびが摩擦を与えより一層の蜜を誘い出す。
「じゃあ、本題」
視覚が奪われている妹にわざと音が聞こえるようにゆびを動かしながら、武瑠は突然低い声で、“罰”を切り出してきた。
「あいつとは別れな?梨由」
「え…っ!?ああっ…あっああっん…っ」
膣内でゆびを曲げて執拗にざらつきを擦られ、梨由の躰は跳ねる。
兄の言葉の意味はかろうじて捉えることはできても、襲い来る恐ろしい快感にもう何がなんだかわからなくなっていた。
「頷くことができたら、イかせてやる」
無情なる選択を迫りつつ、愉しげに笑う武瑠は容赦なくゆびを抜き差ししていた。
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