第七話:無二の累卵

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　兄の支配欲が、独占欲が、快楽の渦となり躰を突き上げた。
　「……っっあっっ！」
　腰を跳ねさせた梨由は、達してしまう。
　視覚を奪われているからこそ余計にか、言葉の一つ一つが狂おしい意味合いを持ち本能へと打ち付けられた。

　「あれ？梨由、お兄ちゃんはまだ指を入れてもいないよ？」
　妹の膣口をゆびで執拗になぞりながら、武瑠は愉しげにくすくすと笑っていた。
　幼い兄妹の戯れを、連想させることなどもはやできはしない妖しさが漂う。
　「それなのに……イけちゃったんだ？ほんと驚くほど敏感だね」
　くちびるへとくちびるが寄せられたのは、あたたかい吐息が触れあうことで梨由にも感じて取れた。
　触れそうでまだ触れてはくれない熱、ふたりは乱れゆく吐息でキスを交わす。
　部屋の中には、交ざりあう息づかいと、ゆびが奏でる蜜の音が絶え間なく響いていた。

　「あ…っ、あっ…あっん」
　クリトリスを弾かれ梨由は躰を反らし、湿った肌を撫でる兄のゆびは食い込む。
　ゆびは未だに入り口をなぞり、気持ちいいのだけどひどくじれったい。

　「目隠しも、似合ってる……もっと深い罰を、おまえに与えてやりたくなる……」
　兄のもうかたほうの手はブラジャーのホックを外し、持ち上げてしまうと胸を直に愛撫しだす。
　「んっ…あっ、あっん…っ」
　硬くなった乳首をゆびでこね回され、梨由は中も乱してほしくて堪らなくなる。
　揺らめいた膨らみへと、そっとゆびを這わされて彼女は中をしきりに疼かせる。

　「梨由の前では、大人になれたことなんて何の意味も持たねぇな」
　不意に、落とされた言葉はどこか苦しげに心へと響いた。
　「ん…っ、あ…っ、お兄……ちゃ…っ？」
　それがきちんと伝わったのか、梨由までなぜか無性に苦しくなり兄へと呼び掛けた。
　それは、大人になるにつれてじつの兄と妹であるという意識を、失ってしまったから？
　それとも、ふたりはもう子供であった頃のように、無邪気に戯れることができなくなってしまったから？

　問いかけたい言葉は喉まできたとたんに、嬌声へと変わってしまう。

　「なぁ、梨由、素直に求めろよ」
　目隠しへとキスをして、親指で妹のくちびるを撫でると、すぐ近くで武瑠は囁きかけた。

　「たくさん濡れたここは、開いてもう待ちきれなくなってる、お兄ちゃんの指で……どうして欲しい？」





　プッッ――…

　親指はくちびるを滑り、弾いた。
　梨由は声と息を上げ、胸は先ほどより荒々しく揉みしだかれる。
　「言えよ、ほら……早くしねぇとこのまま梨由を放ってお兄ちゃんは帰っちゃうよ？」
　厳しい命令口調の後には、優しく諭すような言い方で、兄は妹を追い詰める。
　梨由は彼を求めるべく、無我夢中で振り絞った。

　「ゆび…っ、入れて…っ？お兄ちゃんっ……っあっん」





　今しがた描いた問いかけは喘ぎ声にしかならなかったと言うのに、愛欲はちゃんと甘えた声で言葉にすることができた、自分はなんて、

　強欲なのだろう。

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