第七話:無二の累卵

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　絡められる舌は、堪らなく気持ちがよかった。
　すぐさま襲いきた快い目眩に全身の力は抜け、梨由は縋りつくように武瑠のシャツを掴んでいた。
　ふたりのくちびるは艶かしく重なり、絡め取られていた舌は吸われ、いやらしいリップ音を奏でてゆく。
　“止めよう”といううわべだけの提案になど、今さら抗えないことを知っていた、兄も、妹も。
　同時に、もうどうやっても犯した罪は拭えないのだと言うことも、痛いほどに知っていたはずなのに。

　「……っん、ん…っ」
　梨由は服のうえから胸を撫でられ、甘い声を漏らした。
　ただ深く愛しあっているだけでも、恐ろしく迫り来る背徳感、それは常にそばにあって互いを求めあいながらも離れてはゆかない、禁忌に対する贖罪のようにも思えてくる。
　『背徳ごっこ』などという、仰々しいように思えてふざけた名前をつけた兄の真意も、わかりそうでまだわからなかった。


　「……っは…っんっっ」
　いったん放されたくちびるのあいだ、唾液は細く糸を引き、またすぐにくちびるは塞がれる。
　武瑠は梨由の胸を、衣服越しにゆびが食い込むほど荒々しく揉みしだいた。

　兄に対する狂おしい愛情に、抗うことなど到底できないのであれば梨由が最も提案すべき点はまったく違うものだった。
　“避妊はちゃんとしてほしい”ということを、伝える以外にはなかったのだ。

　下着がじわじわと猥りがわしく濡れてゆく。
　重なる躰、絡まる脚から、止め処ない熱は伝わりくる。
　速く脈打つ鼓動も左右でそれぞれを感じ、梨由の中は奥までしきりに疼いていた。

　武瑠は滑らせた手で、妹の太股を撫でてスカートをたくし上げてゆく。
　与えられる罰とはどういったものなのか。
　もうとっくに、罰なら何度も与えられている気がするが、幼い頃に戻ったような幻惑を抱かせる兄の物言いに梨由は激しく抵抗を見せることも赦されない。

　嬌艶な太股にはゆびが食い込み、ぞくぞくとした愉悦が背筋を這い上がった。
　服のうえから胸を揉みしだいていた手は、トップスを捲り上げて柔肌を愛撫しだす。


　「ん…っ、……んん…っ」
　梨由はビクンと躰を反らし、武瑠はより深く舌を滑り込ませ、ディープキスで呼吸ごと搾り取られてしまいそうだった。
　くっつきあうくちびるも、撫でられる肌もどこもかしこも、淫らな熱情を帯びて兄を髄から欲している。

　やがて、武瑠のゆびは濡れたパンツを捕らえ、妖艶な蜜の音を薄暗がりへと響かせた。

　…ッ…グチュッ――…

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