第四話:堕落の喝采







 「ん…っ、お兄ちゃ…っ、……だめっ……」
 梨由はふるえる手を兄へと伸ばし、熱を持つゆびでその髪へと触れようとした。
 しかし武瑠はお構いなしに、押し当てたくちびるで愛液を吸い、滑らかに舌を這わせ始める。
 「やあ…っ、それ…っ」
 上擦った声を上げ、梨由は持ち上げられた両脚のつまさきまで細やかにふるわしている。
 汗で湿ったシーツが、張りついいてくるようで、呑まれてしまいそうな危うさすらも梨由は感じていた。
 唾液で濡れたくちびるに、兄が残した咬み痕がマーブルの赤を僅かに引いてゆく。

 「まだこれからだろ?」
 いったんくちびるを離した武瑠は、妹に向かって笑いかけてから、パンツを脱がし始めた。


 「いや…っ、お兄ちゃ…っ」
 梨由の見せる抵抗など、意地の悪い兄の前ではただの催淫剤だ。
 わかっているから抵抗するのか、もしかしたらそうかもしれない。
 本気で嫌だと思った瞬間など、ただの一度もないのだから。
 終始、こわいと感じてはいたけれど。
 今までに見たことのないような兄のすべても、胸は高鳴り惹かれてゆくことしかできない自分のすべても。

 呆気なく脱がされてしまった下着は、薄明かりのなかでも猥りがわしい染みを見せつけ、畳の上へぱさりと落とされた。



 「抵抗しながらもちゃんと濡らしてたんだね、ここ…いやらしい汁で光ってるよ?」
 さらに脚を開かせ、武瑠は妹の秘部をゆびで撫でる。
 「あっっ……あ…あっ」
 梨由は両手でシーツを掴み、兄のゆびの動きをおかしなくらいに感じている。
 「しかもこんなに濡らして……梨由は堪え性がないんだな」
 今も尚たくさんの愛液を溢れさしている入り口をゆびで拡げてから、武瑠は音を立てていきなり3本滑り込ませてきた。


 「んっっ…ん」
 躰を反らした梨由の脚は、押さえつけるようにしてさらに開かれる。
 武瑠はなめらかに、ゆびを抜き差しし始める。

 「ん…っ、や…っ、お兄ちゃっ……」
 切なくて、それなのにどこか幸せで、だからこそ余計に切なくて、梨由が伝わせた涙は火照りすぎた耳を少しだけひんやりと湿らせた。
 「中は全然嫌がってないけど?」
 ゆびの動きを速めると、武瑠は妹のその、濡れた耳へと甘く咬みつき囁きかけた。

 「なぁ、梨由……酷い事されたくなかったら、たまにはおまえから可愛い声で、素直な言葉聞かせてみろよ……」

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