第四話:堕落の喝采
不意にぐちゅりという水音が部屋へと響いた。
「ん…っ」
キスで舌を吸われながら、梨由は躰を反らす。
湿ったシーツへつまさきが細やかな皺をつくる。
武瑠はいきなり当てたゆびをしなやかに動かし、下着越しに妹の秘部で淫猥な音を立てる。
「んは…っ、あ…っ」
入り口へと食い込むようにゆびは動いて、その間にくちびるは唾液の糸を引かせながら離されていた。
「あ…っ、あ……」
艶めき途切れた唾液は、筋となって梨由の口の端を伝い落ちる。
「強がっても濡れてるじゃん…」
笑った武瑠は、ゆっくりとその顎へ、下から上へと向かって舌を這わせてゆく。
「だから彼氏を置き去りにして、一人で帰ってきちゃったんだ?梨由はほんとに悪い子だなぁ…」
兄のくちびるには未だ、真っ赤な血が僅かに滲んでいる。
「ん…っん、あ…っ」
感じている梨由の脳裏には、引き留めようとした鉄太の姿が須臾に浮かんだ。
しかし全ては、自分へのしかかる実の兄に支配されているのだ。
「彼への罪の意識に苛まれるより……お兄ちゃんの指でここを濡らすほうが今は大事なんだろ?」
武瑠は膣内へと、下着ごとゆびを滑り込ませようとする。
「はっ…あ、あっ……お兄ちゃ…っ」
梨由は堪らずに甘やかな声を上げていたのだが、ふとくちびるには鈍い痛みが走った。
「……っ!?」
驚いた梨由は、兄から顔を逸らす。
痛みのあとには、生暖かい何かがまた顎へと伝う感触が。
「お返し」
梨由のくちびるを咬み切った武瑠は自身のくちびるを舐め、すぐに妹の顔の向きをもとへ戻させてからただ優しく微笑んだ。
くちびるから一筋の血を流し怯える梨由だが、痛みとは反対に、優しく穏やかな兄の表情に胸は高鳴り視線を逸らすことができない。
「ん……は…っ、あ…っ」
グチグチと音を聴かせてゆびを動かしながら、武瑠は舌で妹の血を舐め取ってゆく。
窓の外の明かりが部屋へと射し込み、象られた光が重なるふたりを妖艶に照らし出していた。
蜜はゆびで乱され、垂れて流れ出す。
ふるえるむきだしの両脚も、抵抗を見せることのできない両腕も、全身はじっとり汗ばみ眩暈を感じている。
やがておもむろにくちびるを離していった武瑠はやけに妖しい笑みを落とすと、妹の脚を無理矢理開かせ下着のうえから秘部へとくちびるを押し当てた。
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