第二話:密めく熱帯夜








 グヌッ…と、容赦なく指は入り口を拡げた。

 「ひゃあっっ、やだあぁぁっ…」
 あまりの感覚に泣き出した梨由は、兄のシャツを掴む。
 「そんなに大きな声出しちゃダメだろ?ここ、壁薄いんだから」
 辛抱強く、それはゆっくりとゆびを動かしながら、
 「今日は、ほぐすだけ」
 キスをして、武瑠は囁いた。

 「梨由のことは誰よりも大事にしたいから、たっぷり時間を掛けてあげるよ…」


 「ん…っ、ん……」
 真っ白状態にされてゆく頭の隅っこでは、“卑怯だ”と、思えた気がして、
 「やっぱ、あったかいね、梨由の中、お兄ちゃんももう汗でびしょびしょだ」
 武瑠はシャツのボタンを、さらに少し、外す。


 「はぁ……」
 吐息が、混ざりあうみたいに、薄暗い部屋へと響く。

 「あ…っ、おにい…ちゃっ…」
 はだけたシャツの間へ、梨由は顔をうずめ、
 「もう少しで、拡がるから…そしたらもっと、深く…」
 ふるえるその躰を抱くと、武瑠は処女膜を押し広げた。

 「んんん…っ、…ふ」
 梨由は兄の胸元へと、声を抑えるよう強くくちづける。
 「そのままずっと、キスしてていいよ」
 武瑠は嬉しそうに、妹の頭を撫で。


 …――煙草の匂いがした。
 眩暈を覚えてしまうほどに、甘美で少しにがい匂いが。

 ゆびはおもむろに、厭らしい音を聞かせ始め、
 「とろとろになるまでほぐれて、梨由の緊張も緩んできたら、ここにお兄ちゃんのを挿れようね?」
 優しい声と、髪へのキスが落とされる。

 「ん…っん、……んっ」
 熱い躰は、びくりと跳ね。

 「あ、中も動いたよ、梨由はエッチだなぁ」
 武瑠は、笑った。



 気持ちよさと幸せが、おそろしくて、もう何も、考えられない。

 ただひとつだけ、確かに描いた、

 “このまま死んでも構わない”と――――…

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