※※第89話:Make Love(&Observatory).36










 20代前半くらいかと思われる、そこそこイケメンがとあるレストランへ彼女より早く到着した。
 予約などは彼女に任せっきりのそこそこイケメンは、案内されテーブルへと着く。

 オトコは、立派なスーツというより、かなり派手なスーツだ。


 (やっぱおれ、目立ってんなぁ。)
 フフンと笑うオトコは、早く彼女と食事を済ませて帰りたい気持ちが前提にあるため、若干苛立ってもいた。


 落ち着いた店内にはグランドピアノが置いてあり、気品のある女性がやはり落ち着いた旋律を奏でている。



 「どれがいいんだかが、全くわかりません…」
 「それよりおまえはこれ、読めんのか?」
 「すみません、こちら、何語ですかね…?」

 店内の雰囲気が落ち着きすぎているためか、オトコの後ろ側の席より、とある男女の声が聞こえてきた。


 (向こうもいわゆる、俺様彼氏ってやつか?まっ、おれのが遥かに目立ってんだろうけど。)
 再びフフンと笑ったオトコは、わざとらしく振り向いて後ろを見た。



 向こうはいっさい、見向きもせず、

 「………………。」

 オトコは黙って、前を向いた。






 (見るんじゃなかったぁぁぁぁああ!!)
 頭を抱える、そこそこなオトコ。


 (なに!?なんなの!?すんげえの後ろに、いたよ!おれこんなカッコでも、全然目立ってねぇじゃん!てか、あれどう見ても、高校生とかなんじゃねぇの!?)

 失われてゆく高慢さを、何とか取り戻そうとしたオトコだったが、

 「…?なに?」

 ふと、斜め前から自分を見ていた、小柄なウェイトレスへと凄んでみせたのだ。




 すると、ウェイトレスの女の子は、にっこり笑って言いました。

 「無いわぁぁ。」





 追い討ちをかけられ、ポカンとするオトコの前、ニコニコとそのウェイトレスは歩いていった。

 そして、

 じぃぃっ

 と少しの間、わりと隅っこの席にて食事をしている、若い男と紳士のお客様を食い入るように見つめたのである。




 (なんか、ものすごく輝く瞳で、見られてる…!)

 実に、食べづらい。



 妄想をおっ始めたウェイトレスちゃんだったが、大作戦中のためルンルンと業務へ戻った。

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