※※第88話:Make Love(&Love sick).35







 そんでもって、次の日!

 金曜日でございます!




 「はぁ…」
 保健室の先生こと、葛篭は、物憂げな溜め息をついて呟きました。

 「いよいよ私にも、モテ期到来かしら…」





 「え!?実穂子ちゃん、彼氏でもできたの!?」
 ちょうど保健室へ熱を計りにきていた女子生徒が、驚いた様子で食いついた。

 「実は、そうなのよ…」
 「マジでぇ!?とうとう12年の歴史に、終止符が!」
 なんだかんだで、祝福する女子生徒。




 もしやこれは、ハリーさんの脈は大有りなのか!?とも思われたなか、

 「でも実穂子ちゃん、モテ期ってことは、彼氏以外にもいい人いるの?」

 この質問により、衝撃の事実が明らかとなった。

 「えぇ、実はね、カレは年下のイケメンなんだけど、昨日ね、年上の外国人の方にも、告白されちゃって…」






 …既に彼氏、できちゃってたんか〜い!






 「ええ!?それ、どっちも捨てがたいけど、あたしだったら年下イケメンを選ぶな〜!」
 “胡散臭い”のくだりがいっさいなかったためか、女子生徒は自分のことのように瞳を輝かせた。

 「それも、そうよねぇ…」
 葛篭は苦笑いで、まるで何かを言い聞かせているかのようで。




 「あっ、平熱だった!実穂子ちゃん、うまくいくといいね!応援してるからね!」
 女子生徒は体温計をきちんと消毒し、元に戻すと保健室を出ていった。






 「そうなんだけどねぇ…」
 葛篭はまだ何か、考え込んでいたのでした。













 ―――――――…

 放課後。

 ベッドを使う生徒やなんかで絶えないため、ナナと薔は頃合いを見て、保健室へと足を運んだ。
 ところが、葛篭はどうやら留守のようであった。


 「とりあえずあと10分は余裕あんな、探すか、」
 「はいっ!」

 本日もナナはバイトがあるため、ふたりは短い時間のなかで手分けして懸命に葛篭先生を探し始めた。










 「桜葉はどこに行ったんだ?」
 部室を覗いてみるとこけしちゃんの姿が見えなかったため、醐留権はトレードマークの眼鏡越しに目を凝らしながら、懸命に彼女を探しておったのです。


 するとそこへ、

 「おい、眼鏡、」

 堂々とした声が、掛かりました。




 「おや?」
 醐留権が振り向くと、
 「葛篭、見なかったか?」
 駆け寄ってきた薔が、問いかけたのである。


 「いや、すまない、私は見てはいない。それより桜葉を見なかったかい?」
 「つまりは、あんたの行くとこにいんじゃねーのか?」

 ………そう言えば。




 「暮中、助かったよ!とりあえず行ってみることとしよう!」
 なぜか眼鏡をキランと輝かせて、醐留権は走っていきましたとさ。





 「……………。」
 呆れ気味で見送っていた薔は、

 「あー、もう時間がねぇな、」

 今度はナナを探し始めた。

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