※※第88話:Make Love(&Love sick).35
四百四病の外。
それすなわち、恋わずらいのこと。
人間のかかるあらゆる病気のほか、とは言っても、
この物語では絶好調か悩ましくか、ヴァンパイアだって身を焦がすほどの恋しちゃってますけど!
ナナのアルバイト初日より、無事に帰宅いたしまして。
「ゥワン!」
花子が大はしゃぎで、“お疲れさま”と、お出迎えでございます。
「花子ちゃーん!」
テンションが急上昇したナナは、花子へ飛びついた。
このとき乙女たちは、
…………はっ(ハッ)!
とした。
なのでちょっとした期待を込めて、隣へと輝く視線を送った。
「なんだ?」
薔は特に何ということもなく、ふたりを見下ろしていた。
…あああ、拗ねてらっしゃらないっ!
「あのぅ、わたくし只今、花子ちゃんと抱きあっているんですけど…」
「ワンッ!」
「可愛いじゃねーか、写真撮ってやるか?」
………えええええ!?
「それはわたしのセリフですよーっ!」
「あ?」
…いいじゃん、ナナさん、君もけっこうたまに、お借りしてるんだからさ。
やはり、写真一枚なんてもんじゃなく、上手だったね!
さてさて、玄関での戯れもほどほどにいたしまして、リビングへと向かいますか。
「おおおっ…!何だか、お腹がすごく空いちゃいました!」
「飯なら出来てんぞ?」
「ワンッ!」
こんな風に、至って和気藹々としておりまして、これから皆揃っての夕食タイムなのかな?とも思われたなか、
「あのぅ…、」
リビングへ達する出前の廊下にて、寒さによるものではない赤さでもじもじするナナが、薔のジャケットを少し引っ張ってこんなことを確かめてきたのだ。
「か、帰ったら、あたためてくださると、おっしゃったのは…、あの、その…」
「…おまえ、腹減ってんじゃねーのか?」
「えっと、空いてもいるんですけど…」
あいも変わらずもじもじ中のナナは、少しだけ俯いて、
「ふーん、」
大胆不敵な笑みを浮かべた薔は、右腕を彼女の肩へとまわした。
ぎゅっ…
そっと抱きしめられ、心地よい匂いと共に囁きは浸透する。
「つまりは、俺が欲しいんだな?」
ナナは、加速してゆく鼓動はそのままに、小さく素直に返しました。
「はい…」
“あらら、”
恥ずかしげな花子は、トコトコとリビングへ向かう。
クイ――――…
そっとナナの顎は持ち上げられ、今にもくちびるが触れそうな距離で、
ピンポーン
突然のチャイムが、鳴り響いたのだった。
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