※※第85話:Make Love(+Intercourse).32






 「はぁっ、はぁっ、」

 抱きあって、荒々しい息を繰り返す。

 枕やシーツにはところどころ、真っ赤な血が飛び散っている。



 ちゅく…っ

 「ん……」

 再びくちびるを重ね、熱く結んだ部分を卑猥に動かした。


 「あ…っん、っ、」

 軋んで止まないベッドは、いつ壊れてもおかしくないほどか。

 「は…ぁっ、ん…っ、ン、」

 牙の痕が消えようとも、濃厚にくちびるを重ねていた。



 グプュッ、グプッ…グプッ…

 「……っ、ン、んん…っ、」

 汗と液で濡れまくった肌が、嬌艷に擦れあって、離れられない、淫ら。



 「は…っ、」

 繋がったまま、抱きしめられ、手を取りあって、いつしか上下は入れ替わっていた。






 ちゅっ

 「んん…っ!」

 頬や耳へとキスをされ、ビクッとふるえるナナは、薔の背中へとそっとゆびを立てる。

 「俺の血の味がすんな…」
 ふっと肌へ吹きかけ、それでも薔はくちびるを滑らせ、

 「ん…っ、中は、っ、もっと…します…っ、あンっ、」

 ウルウルと瞳を潤ませるナナは、上擦る声を振り絞る。


 「中、つうのは、こっちか?」
 「や…っ!あっ、そこじゃ…な…っ、んッ、あ…っ、」

 イジワルに確かめ、薔は熱烈に攻め立てた。


 「あぁ、こっちは別の味か、」
 フッと、笑った彼の耳元、

 「薔っ、イっちゃ…っ、あぅ…っ、」
 甘く声を響かせ、ナナは涙を流す。


 「あぁ―――――――…っん!」

 そして戦慄き、何度目かの絶頂。




 「く…っ!」
 強くナナを抱きしめ、薔もまた中へ放った。






 「はぁっ、はぁっ、」

 擦りきれた吐息が、部屋を淫猥に湿らせ。

 11月の、まるで熱帯夜に、それでも夜明けは近づく。




 汗と愛液、血液と淫水に濡れ、淫れて、波打つベッドは海のごとく。






 「ナナ…愛してるよ…」

 やさしく告げて、薔はその躰を抱きしめ、

 ちゅっ…

 やわらかく、くちづけた。



 「ん…っ、」

 ナナは彼へとしがみつき、濡れて乱れたその髪を撫でる。



 リップ音と淫音を奏で、繋がりつづけた夜は徐々に、太陽を呼び戻すのだった。

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