※※第84話:Make Love(+Vampirism).31
「もう撫でてんだろ、」
「い、いいいや、あのですね、」
花子のことだと思ったのか、はたまたイジワルなのか、薔はあっさり返しましたが、
「わたしが撫でたいのは…、薔なんですけど…」
恥じらいながらもナナは、声を振り絞った。
「ふーん、」
薔は半ばソファへふんぞり返って、不敵な笑みを浮かべると、
「いいぞ、」
そう、ナナを促した。
「おおおっ…!何だか、聞いてから撫でるのは、緊張しますね…!」
「そうか?」
なら聞かずに撫でたほうが良かったのか、ナナはおもむろにソファへと歩み寄った。
隣に並んで座って、
ふわ…
柔らかな髪を両手で撫でると、これまたいい匂いがした。
ドキドキドキドキ…
(あああ、撫でたかったのに、心臓が落ち着かない!静まれ!)
とか、ナナが必死になって言い聞かせておりますと、
「なぁ、ナナ、」
………びくびくぅ!
やさしく名前を呼ばれた。
「ははははは、はいっ!?」
真っ赤になって、返事をすると、
「いきなりどうしたんだよ、」
頭を撫でられたまま、薔はやはりそうきました。
「いきなりじゃないですよ…」
真っ赤さが、止まる所を知らないかのようなナナは、目を逸らしてもきちんと告げた。
「わたし、いつも、薔のことは可愛くて仕方がないんですけど、可愛いとは、怒られますからあまり言えないんで…、撫で撫でしたくなっちゃったんです…」
と。
「おまえな、そういうのはちゃんと俺の目を見て言え。」
「うぎゃ!?すみません!」
思わずビクッとしたナナは、
ぐい
右手首を掴まれる。
(…………あれ?)
何事かと思っているうちに、
ツ―――…
左頬へ、そっとゆびの背は滑っていった。
そして、
クスッ
と笑った薔は、ナナを引き寄せて、
チュ―――――…
それはやさしく、くちびるを重ねたのでした。
“あらま、”
花子はとっても恥ずかしそうに、前脚の間からチラ見しております。
「ん…………」
触れあうくちびるの感触からして、やさしく。
抱きあって、互いの体温は伝わり浸透する。
ちゅっ…
何度かリップ音を立て、柔和なキスに夢中になった。
「は………」
ナナは力が抜けちゃっておりますが、くちびるを離したとき、
「さて、」
これからセックスかと思いきや、薔は微笑み言いました。
「出掛けるか、」
[ 465/543 ][前へ] [次へ]
[ページを選ぶ]
[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]
戻る