※※第84話:Make Love(+Vampirism).31
ベッドにて、羚亜は眠っております。
ここは、無事に帰宅できた、醐留権邸でございます。
「胡桃沢先輩ぃ、しっかりしてぇぇ、」
「ありがとう、もう大丈夫だよっ!」
こけしちゃんは心配ひとしきりですが、愛羅は赤く腫れた目で明るく笑った。
「あのぅ…、」
ナナは控えめに、お伝えしました。
「羚亜くんはきっと、血が足りていないだけなので…、ものすごくお腹が空いているような、状態でございまして…」
すると愛羅は、驚いたように聞き返した。
「え?三咲さんもまさか、ヴァンパイアなの?」
とね。
「はい…、実は…」
申し訳なさそうに、答えたナナでしたが、
「マジで!?かっこよくな〜い!?」
愛羅は瞳を、パアァと輝かせた。
………………あれ?
「そうぅよぉ、ナナちゃぁん、かっこいいぃ、」
こけしちゃんもニコニコ、相槌を打っております。
「なんか頼もしいかも!色々教えてね!」
「えっ?そんな、教えるなんてほどの者では…」
とにもかくにも、ナナは照れまくっておりまして、
「え〜、じゃあ、三咲さんて、」
はしゃぐ愛羅は、興奮気味に尋ねてきた。
「薔さまの血を、いつも吸ってるの?」
これはお決まりなんですか―――――――――っ!?
あーっ、ぁーっ(※エコー)
こころでツッコんだナナは、真っ赤になった。
「うそぉ、なんか考えただけで、R指定かも〜、」
「胡桃沢先輩ぃ、さすがぁぁ、」
愛羅も、ナナの真っ赤さから答えを読み取ったようである。
ナナはまさしく、顔に出ちゃうんだろうね。
おわかりいただけているかもしれませんが、この部屋には眠っている羚亜以外、乙女しかおりません。
(どうしよう…、盛り上がってるみたいだから、起きるに起きれない…)
えーと、失礼いたしました、羚亜は既に狸寝入りの様子でした。
「あぁぁ、あたしぃ、別室にいるふたりがぁ、すごぉく気になってきちゃったぁぁ。」
「こけしちゃん!?」
「えっ!?なになに!?どういうこと!?」
おまけに乙女たちのトークには、何かしらの花が咲いてしまったみたいなんです。
――――――――…
かなり不機嫌な薔が迎えに来たため、真っ赤になったナナは部屋を後にした。
こけしちゃんは醐留権に呼ばれたので、一緒に出ていきました。
部屋に残された愛羅は、
「羚亜くん、いつまで寝てるんだよ〜、」
独り言のつもりで、口を尖らせ呟いた。
「もう起きてるけど、」
返事はすぐに、返ってきた。
「愛羅さんたち、ずっと楽しそうに喋ってるんだもん、起きるに起きれなかったよ、」
「えっ!?そうだったの!?ごめんね!」
ムスッとして羚亜は起き上がり、慌てた愛羅だったが、
「羚亜くん、あたしの血、吸う?」
と、確かめてみた。
「いいの?」
「うん!ずっと吸ってほしかったんだもん、遠慮せずにいっぱい吸って?」
…いよいよ、こちらのカップルも、吸血行為に及んじゃいそうです!
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