※※第84話:Make Love(+Vampirism).31








 しばらく歩いたところで、


 「羚亜くんっ!」


 必死になって呼び止めた、愛羅の声は響きわたった。





 見ると、脇道から愛羅が駆けてくるところで、

 「愛羅さん…?」

 なぜここに彼女がいるのかを、羚亜が思案するより早く、

 パーン!

 愛羅の平手打ちが、羚亜の左頬に炸裂した。




 (うおお!?モモちゃん!?)
 ナナも目を丸くして、びっくり仰天。
 普段のバカップルぶりに呆れっぱなしの薔は、おそらく感心しているのかと。



 「あたしねっ、羚亜くんの様子がおかしいこと、知ってたよっ…!?」
 息を切らしながら愛羅は、声を張り上げた。

 「なんで言ってくんないの?心配したじゃん!」






 「愛羅さん、ごめん…、」
 俯いたまま、やや左頬が赤い羚亜は、小さく謝る。

 「会えなかったら絶対に許さなかったけどぉ、会えたから許すぅっ…!」
 とうとう愛羅は、せきをきったように号泣し始めた。

 「風邪でも引いたらっ、どうするのおぉっ!」






 「ボボぢぁん…」
 ナナは思わずもらい泣きしたため、誰だかわからないあだ名となった。
 「おまえはほんと、涙もれぇな、」
 薔は笑いを堪えておりまして、ナナの涙をゆびでそっと拭っております。




 「もう、ほんっと羚亜くんてバカ!大好き!帰ろ?」
 泣きながら愛羅が、一気に告げると、

 ふらっ…

 突然、羚亜がバランスを崩したのである。




 「やだーっ!羚亜くん、どうしたの!?熱!?」
 青ざめた愛羅は、彼に駆け寄り支え、

 「はぁ……」

 見ると更なる顔面蒼白で、苦しげに羚亜は言ったのでした。

 「ごめ…っ、薔くんの血が…こんなに、持つとは、思わ…なかっ…」






 フッ――――――…

 そして羚亜は、意識を失った。

 「羚亜く―――――――ん!!」

 泣きながら愛羅が、ぐったりした彼を支える。





 「あぁぁ、やっと見つけたぁ、」
 「いやしかし、桜葉は、足速いな、」

 ようやくこけしちゃん&ゾーラ先生も、愛羅の叫びによって駆けつけることができたのでした。

[ 462/543 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る