※第81話:Love(+Quarrel?).47






 「なぜに、笑ってらっしゃるんですかぁっ…!?」
 腑に落ちないナナは、涙声で尋ねる。

 「わり…、おまえが可愛すぎて、つい、笑っちまった…」
 薔はふるえる声で、答える。


 …………えええ!?





 鼻だけでなく、真っ赤になったナナの前、薔はしばらく笑っておりましたが、

 「…って、」

 ふと、笑うのをやめ、顔を上げた。

 「笑ってる場合じゃねーんだよ、」






 ………ひぇえ!


 彼が険しい表情で詰め寄ってきたため、ナナはじりじりと後退った。



 「おまえの被害妄想はいつも、表彰モンだな。どこをどう間違えて、そうなっちまうか知んねーが、」

 がしっ

 腕を掴まれる。

 「ほら見ろ、もう捕まえたぞ。」







 …かあぁぁああっ!

 「ん?」

 みるみるうちに、ナナは真っ赤っかになった。



 「おい、どーしたんだよ、」
 俯いている彼女を、薔が覗き込むようにすると、

 「いやっ、あのっ…」

 自身の顔を隠すように逸らし、ナナは小さく、でも溢れんばかりの想いで言葉にしました。

 「久しぶりに、薔に触られたので、嬉しくて、つい…」










 「はぁ……」

 薔は溜め息をつくと、しゃがみ込んだ。

 「うわぁ!すみません!」
 なぜだかナナは、必死で謝る。



 「おまえな、」
 しゃがんだまま、髪をかき上げ、薔は言った。

 「俺は怒ってなんかねーよ、傷ついてんだよ、」









 「え………?」
 何が彼を傷つけたのか、必死で辿るナナに向かって、

 「ヤりてぇから付き合ってんじゃねーよ、好きだから付き合ってるに決まってんだろ?」

 顔を上げた薔は、真剣な眼差しでつづけた。

 「おまえが勘違いすんなら、もう抱かねぇが、そばにはいてほしい。」

 と。







 「まぁ、どこまでプラトニック貫けるかだな、おまえもいい加減、素直になれよ。」
 見上げる薔の前、ナナは微動だにできずにいて、

 「ごめっ…なさい…」

 ようやく動かせたくちびるから、それだけ零れさせた。



 「俺が聞きてぇのは、そんなんじゃねーよ、」

 ぐいっ

 薔はナナの手を強く引っ張って、


 ぎゅっ

 座り込み、抱きしめた。


 「おまえの気持ちをちゃんと言え。でなきゃ、俺だけがおまえのそばに、いることになっちまうだろーが、」





 (うわわぁ!心臓が、おかしくなりそう!)
 張り裂けんばかりに脈打つ、鼓動のなか、

 ぎゅうっ

 ナナは薔へと強く抱きつき、想いの丈を伝えた。


 「ごめんなさい、わたし、薔が大好きです…!そばに…置いてくださいっ、」









 「よく言えたな、置くわけじゃねーがな、」

 ナナのあたまをやさしくよしよししながら、薔は笑っていた。











 これにて一件落着!


 に、いくはずがない!

 だって、4日分が、溜まってるんだから!













 …―A tale continues to next time, setting eroticism adrift!

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