※※第80話:Make Love(&Feel…).28
サクッ…
またしてもナナは、ポッキーを食べ始めたのだけど、先ほどまでよりブレを感じなかった。
違和感はあった。
音が時折、重なっているような。
そして、ちょっと早い段階で、
ちゅ…
食べ終わる感覚ではなく、くちびるにくちびるが当たる感触があったのだ。
「ひゃ…っ、」
ナナはかなり、ビクッとなった。
「どーした?」
おそらく薔は、イジワルな笑みを浮かべている。
「あの…」
ナナは口ごもる。
「言わねぇと、わかんねーぞ?」
「うぅぅ…っ、」
恥じらいながら、俯きがちに、
「今、キス、しましたよね?」
と、ナナは薔に尋ねた。
「おまえはそう、感じたのか?」
「はい…」
声が、近くなる。
「こんな風に?」
ちゅっ
今度は確かに、キスをされた。
「ん………」
やわらかなくちびるが、触れ合って。
「はぁ……」
吐息は零れ、少しずつ舌を絡めて行くと、キスは甘くてちょっとにがい、
チョコレートの味がした。
「ん…っ、…っん…っ、」
だめ、目の前が見えなくて、キスだけでもう、おかしくなりそう…
ナナは全身のちからを、徐々に奪われてゆく。
「はぁ……っん、ん……」
とろっと、唾液で繋がって離してからも、くちびるは舌で艶かしく濡らされていった。
「ん……っっ、」
ナナはゾクゾクと感じてしまい、既にくちびる以外も濡れているから、堪ったものではないのだ。
「ほら、おまえの欲しがりな唇は、濡れてさらに、いやらしくなったぞ?」
「や…っ、そんな声、出しちゃ…っ、」
耳元で囁かれ、ナナのゾクゾクもひとしおですが、
クチュ…
ようやくなのか、くちびるのあいだへと、薔はしなやかなゆびを滑り込ませた。
「噛めよ、次はこっちを味わえ。」
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