※※第80話:Make Love(&Feel…).28







 キュッ

 ご褒美の前にナナは、布で目隠しをされてしまった。


 「え?何にも見えなくなっちゃったんですけど…」
 「そうだな、」

 …えええ!?

 ナナが、期待やら何やら、よくわからない気持ちをドキドキと共に抱いていると、

 ピリッ…

 はい、ポッキーの箱を開ける音が、聞こえてきたんです。


 ゴク…

 息を呑む、ナナ。


 目の前には真っ暗が広がるので、思考を巡らすことが精一杯である。



 ここまでくると、期待のほうが比率はぐんと上がっちゃうのですが、

 プッ…

 ふと、ナナは、くちびるに親指を当てられ、微かに開かれたのだ。



 「……っ?」

 何事だろうと、思っているうちに、

 カッ…

 まずはポッキーが一本、入り込んできたんです。




 「ほら、食えよ、」
 「ん……っ、」

 恥ずかしくて仕方なかったが、ナナはおもむろにポッキーを食べ始めた。


 サクサクと食べていると、甘いチョコレートの味が口には広がる。




 ちゃんとくちびるにゆびさきを当て、すべてを口に含ませてから、薔はゆびを離した。


 「もっとほしいか?」
 「はい…」

 ここまでくると本当にもう、ナナは何がなんだかわからなくなりそうなんです。


 目隠しをされているため、感じ取ることができるのは、チョコレートの味と、甘い声とやさしいゆび、そして心安らぐいい匂い。




 カリッ…

 もう一本、入れられた。

 確かめるべきはチョコの味ですが、他も確かめたくなるのは時間の問題です。



 やっぱり、くちびるにゆびは触れ、微かに撫でてから離れてゆこうとしたのですが、

 ちゅっ

 思わずナナは、薔のゆびをちょっとだけ咥えてしまったのだ。



 「こら、まだダメだろ?」

 ……………はっ!



 「すすすみません!つい、」

 やさしく叱られたみたいで、ナナがあたふたしていると、

 …カッ、

 更に一本、入り込んできた。




 「ん………」
 またまたナナは、ポッキーをかじり始め、

 サラ…

 髪に、薔が片手で触れる、感触があった。



 ゆびはくすぐったいほどに、そっと髪を遊んでる。




 ゴク

 飲み込むと、また一本と入れられ、時間の感覚は麻痺しかけた。









 そのうちに、

 「一度やってみたかったんだよな、」

 ふっと、口にした薔は、おそらく笑っていて。


 何をだろう?

 彼の姿は見えておりませんので、これまたナナはキョトンです。




 すると、薔はやはり妖しい笑みで、


 チョコの付いていないほうを、口に咥えたのだった。

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