※※第80話:Make Love(&Feel…).28







 帰宅しまして。


 「ワンッ!」
 花子が大喜びで、お出迎えです。

 「ただいま、」
 「花子ちゃん、お外は寒いよっ!」
 「ワン!」

 みんなして仲良く、リビングへ向かいました。








 帰ったらすぐ、お菓子にありつけるかと思いきや、

 「ナナ、」

 薔は言った。

 「おまえはこれから、ちゃんと勉強しろ。こいつらはその後、ご褒美としてくれてやる。」






 「かしこまりましたぁ!」
 「寝んなよ?」

 といいますことで、ナナはリビングにて、薔とお勉強に励むことと相成りました。












 ――――――――…

 「うーん…」

 ナナにとっては難題と、若干の睡魔とも闘いながら、彼女はけっこう真面目に問題と向き合っていた。


 「花子、よく見とけ。ナナは珍しく真剣だぞ、」
 「ワン!」
 「ちょっと、やめてくださいよ!集中できなくなっちゃいますってぇ!」

 勉強をしろと命じたのは薔ですが、やはりなんだかんだで、ちょっかいは出したいらしい。




 「うぅーん…」
 「どこがわかんねーんだ?」
 薔はナナの、不可解なノートを覗き込んだ。


 「ちちちち近いですってーっ!」
 「あ?」


 …君たち(特にナナ)、真面目に勉強してよ!







 しかし、薔の手解きにより、ナナは何とか答えを埋めることができた。





 「………………、」
 薔は教科書も見ずに黙って、答えあわせという名の解読をしております。
 よくよく思い起こしてみると、彼はかなり早い段階から解読できておりましたが。


 ドキドキドキドキ…

 緊張に色んな鼓動が上乗せされちゃって、頬を赤らめるナナは終始、薔の手の動きを見ておった。





 「後半は全滅だが、前半はだいぶ解けてんな、」
 「ほんとですかぁ!?」

 全体的に見ると、解けていないほうが多いのですが、ナナは安堵のあまりはしゃぎ始めた。


 「それよりおまえ、これはいわゆる象形文字ってやつか?」
 「はいーっ!?」
 はしゃぎ始めたはずが、びっくり仰天に変わったようです。


 もはやナナは勉強以前に、習字を習ったほうがいいのでは?




 「うーん…、そうですね、薔はものすごく、字もキレイですもんね…、真似してもいいですか?」
 「真似できんなら、もっと早くにしとけよ、」






 花子はご主人さまの傍らで、すやすや眠っております。




 「おおっ…!もしや、おゆびがキレイだと字もキレイなんですか?」
 「そうでもねぇよ、おまえの場合で考えてみろ。」
 「えええ!?」

 こんな風に、極めてイチャイチャしておりますと、

 ツ――――…

 突然、ものすごくそうっと、ナナは頬をゆびの背で撫でられたのだ。




 ドキッ!として、動きを止めた彼女の隣、

 「おまえにしては、ちゃんと勉強できたじゃねーか、偉いぞ、ナナ…」

 それはやさしく妖しい声で、薔は確かめた。

 「ご褒美、欲しいか?」









 「は、はい…」
 彼のほうを見れないナナは、俯いたまま小さく答える。

 そして、薔はつづけたのでした。

 「ただやるだけじゃ物足んねーかんな、ちゃんと俺も愉しませろよ?」

 と。






 「え………?」
 ナナはようやく彼と向き合い、

 ぴくんっ

 と耳で反応し、すべてを悟った花子は、

 「♪」

 トコトコとお部屋へ、向かったのであった。

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