※※第80話:Make Love(&Feel…).28






 「おおお!ありがとうございます、もう落ち着きました!」
 「まだ休んでろよ、」

 このとき、ナナさんは、

 ………はわぁあ!?

 ようやくその事態に気づいたのだ。

 「背中が、気持ちいいんですけどーっ!」
 「おい、落ち着け、また噎せるだろーが、」


 うん、それはやさしく、撫でられておったからね!





 「…あたし、もう限界…」
 「部長、見ていたい気持ちはよくわかりますが、もう本日は見ないほうがいいです。」

 部長さんは椅子にもたれ、ほへぇーとしておりますね。




 こんな風に、和気藹々ムードを色濃く醸し出しておりますと、

 「あ、あのぅ…」

 町娘役の女の子が(RPGかよ)、赤面しながら恐る恐る声を掛けてきたのです。

 「み、三咲さん、一本いかがですか?」





 「おわ?」
 キョトンとしたナナは、そのお菓子を見て、“お母さんが食べていたような…”とか思っていた。


 「ありがとうございます!いただきます!」
 素直にナナは、一本いただいてみた。

 カリッ

 「美味し〜い!」







 「こちらは何というお菓子ですか!?」
 「え?ポッキーだけど…」


 ……ポッキー、知らないの?






 (いやぁ、部長でなくても笑っちゃいそう。三咲さんて、あれ、素だよね?)

 周りは何だかもう、くすぐったい。




 「今日はポッキーの日だから…」
 「祝日にもなるとは、すごいお菓子ですね!」

 …いや、今日は祝日じゃなくて、日曜日。



 「えっと…」
 そして町娘さんは、勇気を振り絞り、隣を見てみた。


 薔はちょっと不機嫌になって、美味しそうにポッキーをいただくナナを見ていた。





 (しまった、近すぎたあ!かっこよさ致死量!)

 真っ赤で呼吸困難に陥りそうだった町娘さんは、

 「キャー!」

 やけに黄色い叫びでポッキーを箱ごと薔に渡し、その場を走り去った。





 (おのれ、町娘…)

 ギャラリーさんやなんかは、メラメラと魔物みたいなことを考えております。





 「………………、」
 薔は黙っておったが、

 「俺に配れってことか?」

 と、呟いた。




 「つっても俺は今、ナナを介抱してんだよ、」
 「はい!?」
 とっくにナナは回復しておりますが、

 「おい、そこで干されてるやつ、」

 一番仕事をしていない人物へと、薔は堂々と声を掛けた。




 はっ!これは一生に一度あるかないかの、栄えある事態かも!

 部長さんは勢いよく、そちらを見た。




 「あ〜っはっはっはっはあ!」
 誰か彼女を、止めてあげてください。



 「俺の顔を見て笑うんじゃねーよ、」
 「それは絶対に、ないと思いますがぁ!」
 「あはははははは!」




 …部活動って、楽しいね!

 でも、あんな部長は、イ〜ヤだ!




 やはり本日も和やかムードで、お稽古は至極順調に進んでおります!

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