※※第79話:Make Love(+Make Love!).1







 ピンポーン

 司が熟睡した頃、薔とナナと花子のお部屋には、来客がありました。


 「おまえ出てこいよ、」
 「あっ、はい、」

 薔には誰だかわかっているようでしたが、ナナは誰だかわからないまま玄関へと向かった。








 ガチャ――――――…

 ナナが玄関のドアを開けると、

 「こけしちゃ――――――ん!」

 が立っておりました。




 「エヘヘぇ、ナナちゃぁん、司を一日預かってくれてぇ、ありがとうぅ。これねぇ、プリンだからぁ、薔くぅんと食べてねぇぇ?」
 「えっ!?そんなわざわざ、ありがとう!そしてこけしちゃん、今日はお肌がツヤツヤしてて、一段と可愛らしいね!写真撮りたいくらいだよ!」
 「エヘヘぇぇ、」

 プリンの入った紙袋を受け取ったナナと、お肌が絶好調のこけしちゃんは乙女な会話に萌えております。



 「ナナちゃぁん、色々話したいんだけどぉ、今下でゾーラ先生ぇが待ってるからぁ、司だけ連れてくねぇぇ。」
 「うん!わかったよ!いつでも話そうね!」
 そうこうしているうちに、

 「桜葉、良かったな、こいつはぐっすり眠ってんぞ、」

 司を抱っこした薔が、やって来た。




 「あぁぁ、薔くぅんもぉ、ありがとうぅ。じゃあぁ、司は連れてきますぅ。」
 こけしちゃんは、小柄なからだですが難なく司を抱っこすると、

 「またねぇぇ。」

 とってもにっこりと、歩いていきました。








 「おまえ、何持ってんだ?」
 「こけしちゃんからいただきました!プリンだそうです!」

 とか交わしながら、ナナと薔もリビングへ戻りました。








 「なんか、高級そうなプリンですけど!」
 さっそく紙袋から取り出し、ナナはやたらはしゃいだ。

 実はふたりは、既に夕食を済ませてありましたので、食後のデザートには持ってこいだったんです。




 「あっ!スプーンも入ってた!」
 といいますことで、ナナはさっそくプリンを食べ始めた。

 花子は尻尾を振って、見つめております。




 「おまえはほんと、甘ぇモン好きだな、」
 「ぇぇえ?」

 傍らに座った薔の言葉に、なぜか過剰反応を示してしまったナナさんは、

 べちゃっ

 「ああっ!」

 服にプリンを、落としてしまったのだ。



 「なにやってんだ?」
 「すすすみません!」

 ナナは慌てふためき、薔はすぐそばにあったティッシュを手に取った。



 「ほら、拭いてやるから、じっとしてろ。俺のはおまえが食っていーぞ。」
 「で、でも…」
 服は彼が買ってくれたものだし、申し訳なさでいてもたってもいられなくなったナナは、

 「あの、汚してしまって、ごめんなさい…」

 そう、小さく謝った。




 すると、薔は手を止めて、

 「なぁ、」

 今日はかなり、抑えてきましたのでね、妖しく笑って言ったのです。

 「俺がもっとおまえを、汚してやろうか?」








 「え――――――…?」
 ドキッとしたナナの頬を、そっと左手で撫でてから、

 「何の罪悪感だか知んねーが、俺が消してやる。来いよ、」

 誘うように、薔は引き寄せたのでした。







 結果的にこけしちゃんは、よくやっちゃった!


 「ワンッ♪」
 花子はとっても嬉しそうに、見送っておったんだとさ。

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