※※第79話:Make Love(+Make Love!).1








 「…爆睡してやがるな、」
 「そうですね…」

 二階の割と小さなお部屋にて、司はぐっすり眠っておった。


 「まぁ、このほうが好都合か、」
 「はい…?」

 キョトンとするナナの隣、なんと薔は、眠っている司を抱え上げちゃったんです!


 「おまえ、適当に服選んで持ってけ。」
 「か、かしこまりました…!」
 言われた通り、適当に服を選んで手にしたナナと、司を抱っこした薔は、もときた道を戻っていったんです。



 このとき、こけしちゃんはお部屋にて夢見るおめかしタイムでしたので、ナナはこけしちゃんのお部屋に向かってこころで健闘を祈ったのでした。













 “腹減ったな、飯はまだか、”
 ゲイちゃんは待ちくたびれ、キッチンへと向かっておりました。


 そのとき、

 キュピーン!

 猫界のサディストと呼ばれているゲイちゃんの、そちらのレーダーが猛反応を示したのだ。


 はっとしたゲイちゃんは階段を見上げてから、

 “何か知らねぇけど、すんげぇ同志発見!”

 食いついた。


 “兄貴――――――――っ!!”








 「ニャ〜、」

 階段を下りきったところで、薔の足元に黒猫がすり寄ってきた。
 ゴロゴロと、喉を鳴らしながらね。


 「……………、」
 薔は黙って見下ろしておりますが、

 (はわぁぁあ!)

 ナナは心底、ときめいた。


 「すみません!写真撮ってもいいですかぁ!?」
 「あ?」
 「ニャ〜ン、」



 …そう、彼はちびっこを抱っこして、足元では猫ちゃんにすり寄られてるんだから、よくよく考えてみるとね、

 面白いよね!







 (ゲイちゃぁんがぁ、初対面のひとに懐いてるぅぅ!)
 おめかしを終え、戻った母君は、またまたとんでもない衝撃を受けたようだ。

 (やぁぁっぱりぃ、恋愛シュミレーションゲームのひとはぁ、格が違いすぎるねぇぇ!)








 「あのぅぅ…」
 再び靴を履き、玄関を出ていこうとしているふたり(というかさんにん)に、桜葉宅マザーはホロリと言いました。

 「どうかぁ、うちの司をぉ、男にしてやってくださいぃ。」

 と。





 「…お任せください。」
 ちょっとした納得をした薔と、ペコリとあたまを下げたナナは、玄関を出て行きましたとさ。


 かくして、こけしちゃん&醐留権サイドの最大の難関は、大ボスサイドにさらわれました。







 「ゲイちゃぁん、恋愛シュミレーションゲームのひとはぁ、すごすぎたねぇぇ。」
 「ニ゛ャー、」

 感動ひとしきりの母君に向かって、“あんたそりゃ勘違ぇだな、お袋さんよ、”とゲイちゃんは言っております。





 始まりはいささか騒がしかったですけど、計画のほうは順調にいってますよ!

[ 393/543 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る